表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
112/163

「112話 戦力把握 」

トルペタ君はギアード国で金属の形を自由自在に変える技術を学んだらしい。

レオは王様と話したその日のうちに精霊王の指輪の封印を解き、精霊の森で精霊王を味方につけたんだとか。


そして二人に私達の3か月間の出来事、成果を伝えて、今度は二人の成果を披露してもらうことになった。


お酒が入ってふわふわといい気持ちの私が即席で作ったお立ち台に乗るトルペタ君。

トルペタ君とカナちゃんはお酒が飲めないからジュースだけどね。

手には鉄のインゴット。


「じゃあトルペタ君の成果まで~~~~、3、2、1、はい!」

「行きます!」

トルペタ君が鉄のインゴットに触った瞬間、インゴットが石を持つ液体のようにうねうねと形を変えて、一瞬で5本の鉄の矢になった。


「「「「「おお~!」」」」」

拍手と共に歓声が上がる中、恥ずかしがりながら鉄の矢をテーブルの上へと置いた。

次に取り出したのは、新しい武器のボウガン。

金属のみでできていて、複数の歯車が組み込まれた無駄がない超小型の武器。

弦すらワイヤーのように、細く靭性のある金属で作られている。

小柄なトルペタ君でも余裕で使えるくらいの大きさだった。


「これはダンジョンミミックの灰をギアードの技術で細かく練りこまれた金属で作った武器です。今は風属性のボウガンだけどリング・オブ・エレメントで火属性のついたマナを流すと...。」

ボウガンが見る見るうちに大きな弓へと変わる。


「でかいな。」

「トルペタさん持てるんでしょうか....?」

「弓引けるです?」

「トルっち身長たりなくな~い?」

皆の感想は総じて「でかい」だった。

まるでトルペタ君の家に飾られていた、ドワーフ族の身長ほどもある弓のような物だった。

シンプルなんだけど、力強さがあるというかなんというか...。


「ちゃ、ちゃんと攻撃できますから!!....えっと、あとは光属性のマナを込めると...。」

大きな弓が再び形を変えて小さくなっていく。

弓でもボウガンでもない、弦すらない。


「なんです?これ....。」

「これは...もしかして銃?」

それは小型で持ち手に引き金が無い、丸い穴の開いた状の銃だった。

見た目はファンタジーチックで、とても銃には見えない。


「前にミウシアさんが教えてくれたんですよ、こういう遠距離武器もあるんだって。それを俺なりにアレンジしてみました。これは矢が必要なく、マナを光の打ち出せる...そうですね、魔銃とでも言いましょうか。攻撃力はさほどありませんが、速さはあります。」

「光属性が速さ重視だとすると、風は早さと火力のバランス、火属性は火力特化といったところです?ほかの属性はどんな感じなんですか?」

カナちゃんの発言にトルペタ君は武器を片手に頭を掻いて少し困り顔になった。


「実はこれ以外の属性はまだ決まってないんだ、それぞれの属性の特性を把握しきれてないからあんまり決められなくて...。」

「まぁその三種類があれば、バランスはいいと思います。魔族の中にも早くて攻撃が当てられないもの、硬くて攻撃が通らないものがいますからね。」

ニカがうんうんと頷きながら答える。

トルペタ君は席に戻り、三食団子を口に頬張った。

どうやら団子が気に入ったみたい、もち米があれば作れるけど、オウカ国以外に育ててるところってあるのかなぁ?


「じゃあ、最後は満を持してオレかな?」

レオが立ち上がり、お立ち台の上へと上がると、壁に立てかけてあった杖を持ち、前に構える。

杖を持つ手には威厳のある、透き通った緑色の宝石が付いた高そうな指輪と、小さい宝石のついた二つの指輪を付けているのが見えた。


「古より存在する大いなる神獣よ、魂の輝きを我が杖に!フェアリー・エンチャント!」

その瞬間、マナとは違う薄い緑色の光が杖に向かって集まってくる。

杖がその光を纏い、頭部分の宝石がはめられた場所に光が収束する。

光りは緑色の宝石となり、妖精の羽を形作ったようにのようにふわふわと浮いていた。


ガタッという音がした後、座っていたカナちゃんが立ち上がってレオの肩を掴んで揺すった。


「レオ、レオ!今のは詠唱ですか?精霊を実体化する詠唱なのです?!どういう意味があるのですか!?」

「ちょ、ちょちょ、カナっち、やめ、やめ、やめ、」

「出たよアルカナのいつもの奴....。レオがこまってるだろー...が!」

カナちゃんの首根っこを掴んでフレアの腕力でレオから一瞬で引きはがす。

まるで親猫に首元を咥えられた子猫のように宙に浮いたカナちゃんはじたばたともがきだした。


「ええい!離すです!!!精霊術なんてめったに見られないですよ!!詠唱に意味があるということを立証できるまで私は離れな「皆の前だからかっこつけただけで詠唱は必要ないよ~♪」....フレア、おろすです。もう大丈夫です。」

「お、おう....。」

行きなりおとなしくなるカナちゃん。

カナちゃんが修行をしている時に支障となったマクスウェルさん?は効率を重視していて、詠唱は無意味だって常日頃からカナちゃんを否定してきたらしい、そんなこともあってか、詠唱を使ったレオに対して過剰に反応したのかも。


詠唱はレオがかっこつけただけ、ということを知った瞬間醒めたカナちゃんからは先ほどまでの元気はなくなっていた。


「ご、ごめんね~?だってこんな皆に期待されたら、派手にいきたいじゃん~?」

「まぁわからなくもないですけど...。」

トルペタ君が苦笑いしながら答える。


「んで、どういう効果があるんだ?」

フレアはレオに対して照れモードが終わったみたいで、もう普通に話してる。

レオはどう思ってんだろうなぁ~、今度聞いてみよ。


「これは精霊王とオレの二人の精霊を杖に宿らせるスキルなんだけど、魔法を使う度に追加で同じ魔法を使ってくれるんだよ~、使い方によってはパないよね。」

「...パないです。」

「パネェ。」

「ですね...。」

「??パな??い??」

初めて聞く単語に困るニカがあざとく顎に指を当てて首を傾げる。お酒が入っているからなのかいつもよりふにゃふにゃっとしているニカは、普段の真面目なニカとのギャップが見れて嬉しい。

他の皆はパリピ感あふれる言葉、通称「レオ語」に慣れているため疑問を抱かず反応している。


「もちろん、他にもこの状態じゃないと使えないスキルとかもあるってわけ~。...ふう。こんなもんかな?」

杖に纏っていた宝石が光となって宙に消えていく。精霊王もこんな余興に呼ぶなって怒ってそうだけど平気なのかな。


一通り皆の修行の成果を見せてもらった後、順番にステータスを見て行った。


-------------------

名前:トルペタ・アロー

種族:ドワーフ族

職業:魔弓士(Lv75)

HP:890/890(600UP)

MP:7542/7542(2301UP)

腕力:B-(1段階UP)

防御:D-(2段階UP)

魔力:A+(1段階UP)

早さ:C+(3段階UP)

運:A

-------------------

-------------------

名称:オクトエレメントボウ:無(光属性付与中)

品質:S

祝福:済

武器性能:攻撃力+90

構成素材:ダンジョンミミックの灰、魔鋼鉄

説明:自由自在に姿を変えるダンジョンミミックとマナの伝導率が極めて高い魔鋼鉄から作られた弓

補足:・各属性のマナを流す事によって形状を変えることができる。

   ・各属性の形状を一度記憶させると以降、変更することはできない。。

   ・祝福によりこの弓に付与された属性のスキルを発動することができる。

-------------------

トルペタ君は自由自在に変形をする武器「オクト・エレメントボウ」と「リング・オブ・エレメント」の二つを祝福装備化して魔弓士という上位職になっていた。

この武器を使いたいがために数日森に籠っていたらしい。

オクト・エレメントボウはギアードの技術を使って弓の形状を変形させ、属性のついたマナを流すことで各属性の形状を登録することができるんだって。

鑑定結果について話してたらトルペタ君が「あれだけ避けてきたフォレストワーム、食べました(苦笑)」って言ってた。

そこまで自分を追い詰めて修行したんだね....。


-------------------

名前:アルカナ・マジック

種族:ヒューマン族

職業:魔創士(Lv78)

HP:360/360(120UP)

MP:7812/7812(2325UP)

腕力:C-(1段階UP)

防御:C-(2段階UP)

魔力:S(1段階UP)

早さ:C(2段階UP)

運:A-

-------------------

-------------------

名称:氷晶の杖

品質:A+

祝福:済

武器性能:魔力+250(+50)

構成素材:ダンジョンミミックの水晶玉、氷晶樹

説明:自身のマナ保有量に比例して遠距離までマナを操作できる特殊な水晶玉が埋め込まれた杖

補足:・魔力が50上昇する。

   ・マナの制御効率が上昇する。

   ・マナをより遠くまで遠隔制御することが可能

   ・火属性のマナに反応してマナ自体を凍らせることがきる。

   ・祝福によりこの杖に付与された属性のスキルを発動することができる。

-------------------

カナちゃんはキングダンジョンミミックの水晶玉を埋め込んだ杖を新たに手に入れていた。

全属性使えるリング・オブ・エレメントと合わせて二つの祝福装備を手にして上級職の魔創士に無事転職。

この武器の性能を見る感じ、カナちゃんは水と火属性を合わせた氷属性の複合魔法中心で戦うのかな?

カナちゃん自身もマナの制御が難しい森の中でも魔法が出せるくらい強くなったみたい。

「不謹慎ですが、魔物が大量に来るのが楽しみです」とか言ってたくらい力を持て余してた。



-------------------

名前:レオ・フェアリアル

種族:ケットシー族

職業:精霊王(Lv70)

HP:300/300(110UP)

MP:7045/7045(1880UP)

腕力:E+(1段階UP)

防御:E+(1段階UP)

魔力:S(2段階UP)

早さ:D(1段階UP)

運:D-

-------------------

-------------------

名称:精霊王の指輪:光

品質:S+

祝福:済

武器性能:魔力+50

構成素材:精霊鋼、精霊王のマナ結晶

説明:精霊王を従えた者だけが装備できる指輪

補足:・精霊王を使役できる。

   ・精霊を憑依させた時、装備者が使用した魔法が2回発動することがある。

   ・祝福によりこの指輪を通して光属性のスキルを発動することができる。

-------------------


レオはダンジョンでドラゴンゾンビのお腹の中からフレアと一緒に出てきたセイクリッド・セプターのほかに、新たに精霊王の指輪を装備している。

精霊王の指輪はもう二つの双子の精霊の指輪と共鳴し合ってより効果を増すようだった。

精霊の森で精霊王と戦っている時のマナのせいで魔物が寄ってきて片っ端から倒したって言ってた。

魔物ってマナにおびき出されることもあるんだね。


というか、レオの職業が二つ目の祝福装備に加えて精霊王を従えたことで、精霊王になっちゃってて驚いた。


そのことを伝えるとレオは「オレ精霊王になってんの~?うわ、あの爺と同じ名前じゃん嫌だなぁ~。」とか言ってたけど、どことなく嬉しそうだった。

素直じゃないなあ。



-------------------

名前:フレア・イグニス

種族:ジャイアント族

職業:デストロイヤー(Lv81)

HP:8360/8360(1011UP)

MP:8157/8157(1021UP)

腕力:S+(2段階UP)

防御:S(2段階UP)

魔力:C(1段階UP)

早さ:B(1段階UP)

運:A+

-------------------

-------------------

名称:プロミネンスハンマー:火

品質:S

祝福:済

武器性能:攻撃力+320

構成素材:プロミネンスドラゴンの炎爪、竜鉄、金剛布

説明:温度を収束させる効果のあるプロミネンスドラゴンの炎爪を使用しているため、仕様部分に全ての熱を集めることができる。

補足:・装備者が金剛布を触れている間、装備者の筋力+10。

   ・祝福によりハンマーを通して火属性のスキルを発動することができる。

-------------------

まさかの腕力が限界値。

プロミネンスドラゴンを倒しただけのことはあり、ステータスは平均的にすべてが高水準。

しかもファイア・スピリットを使ったらここからまだ強くなるんだから驚きだよ...。

職業はバーサーカーからデストロイヤーに。


というかレベルはそこまで上がってないのに能力値は凄い上がってるのは、やっぱりマナをいくら吸収すると一緒に能力値が上がるわけじゃないんだね。


フレアはプロミネンスドラゴン以外にも火山で魔物を狩って修行したって言ってたけど、場所が合ってたのかな?

何か特殊な訓練はしたか聞いたら「さあ?フツーに火山に住む魔物を倒してただけだな。あ、喰ってたら猫舌が治ったぞ。」

って言ってた。

猫舌が治ったことは関係ないよね?


-------------------

名前:ルクニカ・ホワイトミルク

種族:バーニア族

職業:パラディン(Lv99)

HP:8460/8460

MP:9986/9986(110UP)

腕力:A+

防御:SS(2段階UP)

魔力:A+(3段階UP)

早さ:B-(1段階UP)

運:B+

-------------------

ついでにニカのステータスも見てみたら、前に見せてもらった時よりも上がってた。

レベル99って...これでカンストなのか、これ以上上がるのか....。

防御はS+を超えてSS、私がサスティニアに来る前、宇宙神の部下の女神ティアがゲームの世界っぽくこの世界の基礎を作ってくれたけど、その時に能力値の範囲はD-~S+までって言ってたと思うんだけど、私の勘違いだっけ?

それとも世界がアップデートされたのか...いやいやゲームじゃないんだから。


ともかく、ニカのステータスは計り知れなかった。

流石最強の冒険者。

ニカ滅茶苦茶硬いじゃん!って言ったら「これはあくまで能力値であって!マナによる身体能力向上であって!私は柔らかいですから!!!ミウちゃん触ってみてください!!」ってお腹を触らせられた。

ニカのお腹は引き締まってて、真っ白で、ぷにぷにしててすべすべしてた。

この世界は肉体の見た目と強さは関係ない、マナの保有量ですべてが決まるのだ。

見るからにマッチョな人はあまりいない。筋肉に負荷をかけるところを保有マナがサポートするからなのかな?

つまり筋トレじゃなくてマナトレ。

マッチョな人はわざわざ筋肉をつけるためにマナを使い切ってから体を酷使するらしい。

そんなもの好きいる?....いたわ...ギアードの素材屋のダンバーさん、王都の解体屋のドンバーさん、ジャイアントの王、オリバー王。

ジャイアント族はそういう人が多いのかな...?



ちなみに私のステータスはこれ、腕輪の呪いが解けてからずっとオウカと訓練尽くしでステータスの確認忘れてたよ...。

-------------------

名前:ミウシア

種族:バーニア族(半神)

職業:魔双剣士(Lv82)

HP:1674/1940(1130UP)

MP:8220/8250(1268UP)

力:A

防御:C+

魔力:A+

早さ:S+(2段階UP) ※解呪によるボーナス

運:A+

称号:善意の福兎(6柱の神の祝福により効果UP)

  ・自分以外のHPを回復する時の回復量+100%

  ・誰かのために行動する時全能力+50%アップ

  ・アイテムボックス容量+100%

  ・製作、採取速度+200%

   ※このスキルはスキル「鑑定」の対象外となる。

   ※このスキルを持っていると全NPCに好意的な印象を与える。

-------------------


なんと、解呪したことで制限されていた能力が制限前よりも2段階も上がってた。

訓練中に自分の動きがやたら早く感じたのは、制限されてた分そう感じたのかと思ってたけどそんなことなかったんだね。


S+の速さがどれくらいかって言うと、自分が本気で投げたコップを反対でキャッチできるくらい。


そしたらフレアが面白がって、トルペタ君に「ミウシアに向けて先端の尖ってない矢で思いっきり打ってみろよ」とかいうもんだから焦った。

結果、見事に矢の掴んで止めることに成功。手がこすれていたかったけど、

トルペタ君が意地になって火属性の火力特化の大きな弓で再挑戦。


結果、両手で何とか止めることに成功。「もしミウシアさんくらい早い魔族がいたら俺は役立たず中の役立たずですね...。」ってへこんじゃったもんだから滅茶苦茶に励ました。

まぁカナちゃんがトルペタ君に色々アドバイスとかしてたから平気だと思うけど、



そんな感じで私達は再開を祝った。

これから起こる魔族との闘いが激化するとも知らずに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ