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「11話 星に降りる準備」

初投稿(2020/11//8)なので区切りがいいところまで一気に投稿しました。

以降はしばらく毎日更新します。

「さて武蔵さ~ん。そろそろサスティニアに降り立つ準備をしましょうか~!」


飲みかけの炭酸の抜けた水で薄まったコーラを飲みほした俺はティアの発言に疑問を感じた。


「まだ眷属達に使命を与えてからそこまで時間が経っていないと思うんだが、種族ができてから俺がサスティニア行くんじゃなかったか?」


「神界は時の流れが違いますからね~!それにある程度文明が進まないと世界を歩きにくいでしょうしだいぶ加速してありますよ~。多分後1時間くらいしたら丁度いいタイミングだと思うので~、今のうちに武蔵さんが地上で安全に行動ができるように私の加護を与えようと思いまして~!」


「なるほど、時間に関しては理解した。準備っていうのは俺のゲームのデータをもとにゲームに近いことができるように調整してくれるって話だよな?」


「はい~~!」


RoAで俺は割と上位のプレイヤーだと自負している。戦闘職業、生産職業ともにレベルはカンストしていたし、知識もある。

ティアの加護がどの範囲までゲームに寄せてくれるのだろうか。


(RoAは操作がコントローラだったし、実際の戦いではおそらく俺は素人同然だ。せめて自分の残り体力、残り魔力だけでも見えるようにしてもらえれば安全策はとれると思うけど・・・。)


「どこまで対応できるか聞いてもいいか?」


「はい~!えっとですね~こんな感じです~」


ティアさんが半透明のウィンドウを指でタッチし、俺のほうにスライドすると俺の前まで日本語の文章が並んだウィンドウが移動してくる。

画面に映し出されたのは次のような内容だった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


職業、レベル:職業/レベルの概念が根本的に違うため再現失敗。

称号:「善意の福兎」の再現成功。

アイテム:キャラクターが装備していたアイテムに関して再現することに成功。

ステータス:再現失敗。

システム:「Race Of Ancient Online」のアイテム管理システム「アイテムボックス」とステータス画面の再現に成功。

その他:眷属との対話が可能。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


率直に感じるのは思ったよりも再現してもらえたんだな、ということだった。


戦闘職が引き継げなかったのは俺の生存率に直結するためかなり厳しいが、概念が違うということは何か別の方法で強くなることができるのかもしれない。


それにアイテムボックスと称号「善意の福兎」があることで生産職のようなことはできると思う。


アイテム自体は無理だった、装備していたアイテムは・・・。


(っていうかログアウトした時の職業木材職人じゃん・・・生産職装備だーーーー戦闘職なら楽できたのに!!!!!!)


過ぎたことを悔やんでも意味が無いため俺は落ち込みつつも確認を続けていく。


ステータス画面に関しては、ステータスが確認できるのであればHPとMPの管理が可能なため非常にありがたい。しかし肝心のステータスは引き継ぐことができないのでせいぜい「俺ちょっとTUEEEEE!!!」ができるくらいだろう。

問題は----------------


「ティア、その他の項目について詳しく教えてほしいんだが。」

「はい~。というかいつの間にか呼び捨てになってる~・・・・。えっと、眷属との対話については眷属達が武蔵さんとの対話をずっと望んでいるのでさすがにかわいそうかなって思って思いまして~・・・。あ、多分武蔵さんがサスティニアに行く時には1万年くらい経過してると思いますよ。」

「え、もうそんなにたってるのか!?指示だけ出して1万年放置...ひどすぎる....。」


「あ、あと宇宙神様から聞いたんですけど武蔵さんの今の体だと神力を体にとどまらせることができないみたいです~、なのでサスティニアのマナと神力を織り交ぜた肉体にリフォーム(・・・・・)しようと思ってますので!」


体を適合させるのは少し怖くもあるが既に神界に来た時に半神に作り替えられている訳だし今更どうにでもなると思うことにして何とか納得した。


「あ、時間ですね、じゃあ始めますね~!次に目が覚めたときはサスティニアの大地ですよ!新しい体だと今までと色々違うと思いますが頑張ってください~!あ、すぐに精神が体に適応するはずですので安心してくださいね~♪」

ティアが俺に手を向けて何か唱えだした。


「ちょっとまて!俺の体はそんなに大きく変わるのか?この世界に来た時と同じであんまり変わらないんじゃないのか!?・・・まさか!!」

そんな俺の疑問を余所に周囲が光の膜に覆われて行き、だんだんとティアの姿が見えなくなる。

それとともに俺の意識も遠のいていく。薄れ行く意識の中で聞こえたのはティアのこんな一言だった。


「頑張ってくださいね、ミウシアさん(・・・・・・)」



------------------------------------------------------------------------------

~そのころ疑似神界では~


下界が照らされた湖のほとりでウォルフに作ってもらったクッションの上で寝っ転がっているシーアと椅子に座って紅茶を飲みながら下界を覗くヒュム。


「やっと私たちが加護を与えた種族が繁栄して国ができてきたな。ケットシー族はまだ各地をふらふらしてるものばかりなのか?」

「うーーーん、まあシーアの加護持ちの種族だもん、じっとなんてしてないよ~。ヒューちゃんとこは皆生き生きしてるよね!」

ヒュムはマイペースなシーアを見ながらかつての妹を思い出しふいに笑みがこぼれる。


「シーアさん、ヒュムさん、クッキーを焼きましたのでいかがですか?」

「ほしー!!!!」

「ありがとうルニア、貰うよ。」

焼きたてのクッキーの入ったお皿をヒュムの前の机に置きながらため息をつくルニア。


「それにしても、主様はいつになったら私たちにお声を聞かせてくださるのかしら・・・。」

「主は忙しいのだろう、何せ私たちを作り出したお方だ。とはいっても寂しさを感じることは否めないな・・・。」

「そだね~。もっとお話ししたいなぁ。」


3人は落ち込みながらルニアのクッキーを口に入れる。

「「「塩辛い!!!」」」


ド天然のルニアはまた砂糖と塩を間違えたようだ。せき込みながら水を一気に流し込んだ。


その瞬間、何かを感じたのか3人の眷属達が勢いよく地上が移る湖へと視線を移す。

同時にウォルフの研究所、ジアの修練所、デストラの書斎のほうからバタバタと3つの足音が聞こえてくる。


「おい!今のって!!!」

「もしかして!?」

「この気配はもしや!?」


息を切らしたジア、ウォルフ、デストラも湖に移る下界を覗く。


その湖には下界のとある森に倒れている、一人の女性が映し出されていた。

ピンクがかった濃い茶色のボブヘアー、頭の上にはバーニア族のたれ耳、そして褐色の肌を持つミウシア(・・・・)だった。


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