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「100話 サクラ族の里 」

いつも見てくださってありがとうございます!


ついに100話まで到達しました!


いろんな小説を見ていて、もうちょっとここの会話が知りたいなぁとか、あんまり時間が飛ぶと寂しいなぁとか、他のキャラの行動が知りたいなぁ、とか思っていたのをこの小説に盛り込んだ結果、だらだらとなかなか話が進まず、地の文が少ない小説になってしまいました...。


最近の執筆速度についても、仕事とプライベートがてんやわんやしているせいで著しく更新頻度が下がっています。


更新頻度が下がっても必ず完結はさせますのでお待ち下さい!


ここまで書き続けられたのは応援してくださってる皆様のお陰です!

これからも「うさみみ」をよろしくお願いいたします!

「はぁ...はぁ...明かりだ...!!明かりが見える!!」

大きなサクラの木を目指して走り続けること数時間、辺りはすっかり夜になっていた。

辺りが暗い中、下からぼんやりと光る大きなサクラの木を見て、サクラ族の里である事を確信した。


桜が密集している森をずんずんと進んでいくと、賑やかな音と明るい光を感じた。

特に密集しているこの桜たちはサクラ族の里のバリケードみたいなのものなのかもしれない。


がさがさっと隙間からバリケードを抜けると、そこには美しい光景が広がっていた。



「...。すっっっごい..。」


森を抜けた先には赤を基調とした、富裕層の暮らす江戸時代のような豪華な建物が並ぶ街が広がっていた。


その広さは丁度大きなサクラの木の下の日陰になる部分はありそうだった。


私がいるところは何もない広場が広がっていて、この辺りには人がいない。

しかし広場の向こう側の建物の隙間からかすかに見える人達は、様々な種族が和服を着て歩いていた。

この広場は何かお祭りのような物を開催する時の広場なのかも。


上を見上げると途方もない大きさのサクラの木、幹の部分には木に沿うようにして幅の広い階段と、その上にひときわ大きな社のような物が見えた。


「これは....和ファンタジー?こんな幻想的な風景、この世界に来て一番かもしれない....。」

ここはサクラ族の里というよりも、規模的にはサクラ族の国だと思う。

あの木の反対側にもこんな街が広がっているんだとしたら王都に引けを取らないレベルなんじゃないかな...。


「とりあえず、人のいる方に行ってみよう...。」

もしさっきのサクラの木が密集している地帯がバリケードのような、国境のような物だったとしたら私は不法侵入になるのかな。

だとしたらちゃんとした入り口を探したほうが良い....?


まぁ、流石に不法侵入にはならない...と思いたい。


大きな広場の真ん中を歩いて人の居る方へと足を進めた。


「んー?街行くひとみーーーんな、髪の毛が真っ黒だ。」

さっきは遠くてちゃんと見えなかったけど、猫の耳が付いたケットシー族、大きなジャイアント族、兎耳のついたバーニア族、ヒューマン族にドワーフ族も皆が日本人のように真っ黒。

服装は時代劇で見たような質素な服から花魁やお殿様が着るような豪華なものまで。

流石にちょんまげの人はいなかった。


....それに比べて私はこげ茶の髪の毛にピンク色のメッシュ。

明らかによそ者である。


「....入り口を見つけて正式に街に入ろう。」

Uターンしようとして足を止めた瞬間、建物の隙間から見える人がどんどん増えていく。


いや、ちがう。私を見て立ち止まってるんだ。


「これ....やばい....?」

冷や汗が頬を伝うのを感じる。

その時、人だかりをかき分けて大きなジャイアント族の人がこちらに向かって走ってくる。

綺麗に着こなしたその着物を見る限り、位が高い人のような気もする。

その腰には...刀!!?!?!?


ヤバい!!!逃げなきゃ!!


「おい!!何者だ!!!とまれ!!!!!」

「ひ、ひぃぃぃぃいい~~~!」

刀に手をかけながら走ってくる警備の人っぽいジャイアント族が私を捕まえようと走ってくる。

その後ろからも同じ服装の人が数人走って追いかけてくるのが見えた。


「あ、怪しいものじゃないんです~~!!!迷ってここまで~!!!」

「どう迷ったらこの里まで来れるんだ!!忍兵!!回り込め!!!」


し、しのびへい!?なんか大事になってない!?

必死に走って広場を駆け抜けるも、呪いのせいで思ったようにスピードが出ない。

こんな時に嫌な弊害が!!


突然目の間に黒い影が回り込んできて私に何かを投げつけてくる。

それは一瞬で私の体に巻き付き、身動きをとれなくした。

走っている最中に身動きを封じられたもんだからそのまま受け身をとれずに地面に倒れこむ。


「ふぎゃっ!」

いった~~~~~~!!!!

せっかく可愛い顔になったのに傷がついたらどうすんだよ~!!!

地面を見つめながら恨み言を考えていると、追いかけてきた人たちがバタバタと私に近付いてくる音がした。


「よし、連れて行け。」「はっ!...ほら立て!!」

グイッとぐるぐる巻きになった私の体を持ち上げて、無理やり立たせてきた。


「ひゃっ....ちょっとどこ触ってんの!!」

下っ端みたいな若めのヒューマン族の青年が経たせるときに私のおしりやらお腹やらに触れてきた。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

SIDE:下っ端

とらえた女子おなごの体を支え、無理やり起こそうとすると妙に柔らかい感触を感じた。


「ひゃっ....ちょっとどこ触ってんの!!」

耳元で何か喚かれるが俺の耳には届かない。


どこを触ってしまったかはわからないが、手に餅のようにふにっと柔らかい感触を覚える。

俺は今何を触った?驚きにバッと手を放し、他の隊員が女子を立ち上がらせる。

女子は俺に何かを訴えるように眉毛を釣り上げて睨んできた。


ガラス玉のように透き通った紫色の大きな目、鼻筋の通った顔立ち、サクラのようにピンク色の唇、異国を思わせる褐色の肌。

そしてなによりも、樹皮のような茶色の神に、サクラの花びらを散りばめたかの如き髪色。

まさに御神木が人としてご降臨されたかのようなそのお姿に俺は震えた。


他の奴だってそうだ。最初は気にも留めていなかったが女子の顔を見て固まっている。


隊長でさえも目を見開いて驚いている。


俺はその女子から少し離れて隊長を呼んだ。


「た、隊長!!いいんですか捕まえて!あの女子はただものじゃなさそうですよ!ご神体様じゃないですよね!?」ヒソヒソ

「む...いやしかし...でも.....。うーむ、美しい髪色だな。」


隊長は顎に手をやって悩み、チラチラと横眼で女子を何度も見て悩んでいるが、その髪の毛に釘付けだ。


「...どちらにせよ私達では判断ができません!」

「うむ....拘束を解いてオウカ様の元に連れて行こう。」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

SIDE:ミウシア

なに?なんで?


拘束されたまま立たせられたと思ったら、いきなり腰が低くなって拘束を解いて私を囲い、ついて来てくださいと言われた。


「手荒な真似をしてすみません、オウカ様と会っていただくまではこのままでお願いします。」

「は、はぁ。」


一番偉そうにしていた人は見ての通り手のひらを返したような態度。

私を拘束した忍兵?とやらは気が付いたらいなくなってたし、私の体を触った下っ端みたいな人はしきりにチラチラとみてくる。


なにこの状況?

とりあえずそのオウカ様とやらのところについたら色々話してみよう、話が分かる人だと良いけど。


それにしても...。


「綺麗....。」

砂利道を歩きながら私を囲っている人達の隙間から町を眺める。

等間隔に設置された提灯がぼんやりと町全体を明るく照らす。

その明かりに照らされた赤を基調とした木製の建物はとても美しい。


ここは商店街のようなところなのか、着物を着たサクラ族達であふれかえっていてとても賑やか。。

皆、私を囲うようにして歩いている侍?みたいな人達をみて何があったのかと驚いている人が半分、気にしていない人が半分くらいかな。



「こっ、ここは商店街です!この時間は皆飲み屋や屋台でにぎわっています。」

「そうなんですね。」

下っ端君が説明してくれた。

和テイストなこの国の料理って気になるなぁ。

もしかして醤油とか納豆とかあるのかな?もし無事に解放されたら色々見て回ろう。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


歩くこと数十分...いや長いよ!!

向かう先はやっぱり木の側面に建てられたあの大きな社だった。


大きな階段の入り口には警備兵のような人が配置されていて、先導している下っ端の上司っぽい人の顔をみてそのまま通してくれる。

やっぱりそこそこ偉い人なのかもしれない。


木でできた階段を一段一段と登っていく。

上を見ると大分長く続いている上、登り切った先に別の階段も見えた。

この途方もない感じ、江の島を思い出すなぁ。


「ここを登ったら、オウカ様が住まわれている場所があります。」

しばらく上ったところで私の方をちらりと見て、そう言った上司っぽい人。

良い終わるころには階段を数段飛ばしでずんずんと進んでいく。

さすがジャイアント族、歩幅が広い。


「は、はい。」

ここで鍛錬したら大分体力付きそうだなぁ、やっぱ下っ端君たちも慣れてるのかな?


「ぜぇ、ぜぇ...。」「.....。」「ふぅ....。」「.....。」

無言でついて来てる人の額には汗が一筋、下っ端君は息を切らしてる。

そんなに慣れてるわけじゃないんだね....。


何とか登り切り、とてつもなく大きな社を潜ると木材でできた足場なのに、なぜかわざわざ石畳と砂利が広がっている。

石畳の先、サクラの木の側面を背にとても日本らしい神社が佇んでいた。


ここまで日本らしいと流石に気になる。

何でこの国はここまで日本の、それも昔の建物や文化と同じなんだろう。

その謎は全てあの神社にいるオウカ様が知っている?

だとしてもどうやって聞けばいいんだろう、もし知っていたとしてもなんで私が日本を知っているか問われるはずだ。

....あれ、言っちゃいけないわけじゃないよね?なんかそういう縛りあったっけ...?


「こちらへ。」

「は、はい。」

上司っぽい人から声がかかり神社へと向かった。




神社の中は古い造りの豪勢な家のようになっていた。

広い玄関で靴を脱ぎ、応接室のような広い部屋で待つように言われた。


「当たり前のように畳じゃん....。」

案内された部屋は広く、一面畳張りで木で作られた机が真ん中に置いてあった。

そして扉は襖。ここだけ見たら日本に帰ってきたのかって思うほどだった。

ちょっと古いけど。


座布団の上に座ってオウカ様を待つ事数分、トタトタと誰かが歩いてくる音が聞こえた後、ガラッと襖があいた。


「待たせたのぉ、旅の者。儂がオウカ国の巫女。オウカじゃ。」

現れたのは巫女服を着た綺麗な長い白髪で前髪は眉上カットで麿眉の幼女。

普段の私なら「のじゃロリだ!!」と心の中でテンションが上がるだろう。

しかし、今はそれよりも驚きの方が勝っていた。


ドワーフ族かと思ったその幼女の頭には、透き通ったシカのような角が二本生えていたから。


角に釘付けになっているとオウカ様も私を見て固まる。

しばらく私を見つめると覚悟を決めたような顔つきをした。


「まさかおぬしは...。そうか。儂もここまでか。逃げも隠れもせん。好きにせい。」

そんなおかしなことを言ってオウカ様はその場で正座をして目を瞑った。

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