「1話 神の苦悩」
初投稿です。
拙い文章ではありますが見ていっていただけると幸いです。
宇宙はとてつもない速度で今も広がり続けている。
そんな途方もなく広がり続ける宇宙を管理する神、「宇宙神」は「神界」で部下の女神とともに悩んでいた。
「宇宙神様~もう限界です~、これ以上設定が浮かびません~」
透き通るような美しいプラチナシルバーの髪、この世のものとは思えないほど整った顔立ちをしているにもかかわらず、どこかやる気のなさそうなけだるげな表情をした、白いローブをまとった女神は宇宙神にそう愚痴を投げかけた。
「神手が足りなすぎるね、これじゃあ全ての星の管理なんてしきれないよ・・・。なんかいい方法無いかな・・。うーん。」
女神と似たような服装、同じ髪色、まだ10代に見える幼い顔立ちをした少年は難しい顔をして考え込む。
女神は宇宙神がいつも突拍子もないことを言って、自分の仕事を増やすことを女神は嫌というほど思い知らされていた。
(どーせまた私の仕事がふえるんだろうなぁ~今の状況がすこしでも楽になるなら何でもいんだけどぉ・・・。)
そんな女神の心配を他所に宇宙神は数千年ぶりに、頭をひねらせた。
(楽になる方法~楽に~楽~楽々楽々)
「あ、そうだ!今まで作った星の中からさ、娯楽の発達した星の娯楽を模倣して星の設定を作ればいいんだ、あぁ、なんで数十憶年も気が付かなかったんだろう・・・。」
その言葉に女神は珍しく使えそうな意見を出したことに驚きながらも、自分が楽できそうな提案に乗ることにした。
「名案ですね~!!それなら楽n・・効率よく星を管理できます~!今すぐ探してみます~!!」
そう答えた女神の前に文字が書かれた半透明の板のようなものが現れた。
まるでSFに出てくる透明なモニターのような見た目をしているその板に触れながら、指を動かしていく。
「今までの星・・・・で・・・・娯楽が発達・・・っと・・・。あ~たっくさん有りますね~!」
女神は今までに手掛けてきた全ての星の中から神々独自のデータベースを使って、娯楽の発達した星を検索した。
しかし検索結果が思った以上に多かったため、中でも特に娯楽が発達した星で、比較的温和な性格の人類が多い星の抽出を行った。
「あ、この星とかどうですか~?5億年まえくらいに珍しく宇宙神様が力を入れて作った星です~!」
半透明の板を宇宙神のほうに向けて指でスライドするとスーっと板が滑り、宇宙神の目の前で止まる。
女神が候補に出した星の情報を見た宇宙神は詳細情報をさらに調べ、その星が以前自分で作り出したことに気が付いた。
「ん~?ああ、「U6235-3375」か、そういやこの星の人たちも自分の星のこと「地球」って名乗ってるんだよね、まぁ言葉は違えど地面の球って意味をつけるのはしょうがないのかな?まぁどうでもいいや、確かにこの星は小さな争いはあるけど基本的に平和になるように心がけて作ったんだっけね。いいじゃん!どんな娯楽があるの?」
U6235-3375(地球)の文明レベルが安定してからは管理優先度を下げていたため、宇宙神は地球の娯楽というものを把握していなかった。
「(宇宙神様なんで説明口調なんだろう・・・。)えっと、娯楽のジャンルで分けますと・・・。ん~?人が電子機器で投影した映像を追体験するような作品がありますね~。この星の人たちと同じ世界観の作品はいろんな時代を通してたっくさんありますね、人と人の恋愛を描いたもの、争いを描いたもの、この星の人たちにない力を持つ超能力ものなんてジャンルもありますね~!あ、最近はファンタジー(幻想)と呼ばれる地球の世界観とは異なる剣と魔法で冒険するようなジャンルが多いですね!・・・・えっ、異世界に転生する作品が特に多いみたいです。私たちが人間に干渉して死後の魂を使って異世界に転生させる・・・なになに~?チートを与えられて俺TUEEE夢想してみた。なにこれあはは~」
宇宙神に調べた情報を伝えるはずが、地球で人気の小説やアニメの情報を調べるうちに、女神の興味は地球の娯楽に向いてしまい、途中から報告を忘れてそのまま地球の娯楽を読み進めていった。
「ちょっと・・・。まぁいいや、聞きたかったことは聞けたし。」
うーん、と宇宙神は考える。
(もういっそのこと地球人をここに呼んで星の管理を・・・。ただの地球人じゃダメだ、星の管理に対して前向きかつ邪な気持ちを持たない地球人じゃなきゃ。管理に対して前向きは・・・星が安定するまで管理できればどんな願いもかなえるって条件を付ければ・・・いける!)
「よし!そうと決まればさっそく探すよ!」
「あはははは~おもしろい~」
こうして宇宙神の突発的な思い付きにこの物語の主人公が犠牲になるのであった・・・・。