第1話 転校生
桜が舞う季節の春、俺こと橘悠は暖かい日差しに当てられ目を覚ます。
「……朝か」
俺はベッドから降り1階に降りる。
「今日からまた学校か」
そう春休みが終わり今日から高校2年生になった俺はまた学校がまた始まるのかと思うとため息が出てしまう。
「あ〜あ、学校行きたくない」
それでも初っ端から休むわけには行かないと思い朝食の準備をする。
ちなみに俺はこの2階建ての借家に1人で住んでいる。普通なら住めるはずがないがこの借家の所有者が俺の祖父ということもあり普通より格安で借りらている。俺は借りられた時正直ラッキーと思った最悪ボロアパートでも住む気でいたのですごくありがたい。家賃も親からの仕送りを含めればバイトをしなくて家賃は払えるのだが俺は料理が出来ないので夕食はコンビニ弁当などで朝はバターを塗った食パンといったような食事でそんなわけで食事に関してはあまり金がかからないがそれでも金は減るので自由に使える金がないので俺は週に一回のバイトでなんとか俺は現在1人暮らしを満喫している。
俺はバターを塗った食パンに牛乳にコンビニで買ったサラダといった組み合わせの朝食を10分で食べパジャマから学生服に着替え行く準備を済ました。
「……8時かちょうど良いな」
ここから俺が通う桜花学園まで10分ほどで着くほど近く今出るのが丁度いい時間なのだ。
俺は学生鞄を持ち家を出る。
♢♢♢♢
俺は学校に到着し上履きに履き替え自分の教室に向かい教室のドアを開けた。
ガラガラ
中に入ると結構な人数が登校していて一緒の『クラスだね』や『また一緒だね』と言った具合に友人同士話している光景が俺の目に映る。
俺は黒板に貼ってある座席表を見て自分の席に座り学生鞄から本を取り出して読み始める。
俺が本を読み始め後10分で朝礼が始まるところで1人の男子生徒が入って来たことでこのクラスの女子生徒が黄色い声を上げた。
鹿島宗介
運動神経抜群に勉学も定期テストでは毎回10位以内に入り性格も良く容姿もいいことから女子生徒から告白が絶えないまるで王子様のような男だ。
実際この桜花学園では鹿島宗介は王子様と厨二みたいな異名をつけられている。
そして何故か鹿島宗介の後ろから俺とアニメやラノベなどの趣味が合い1年の時から良く話す様になった友人倉田孝が入って来た。
「宗介遅かったな」
「はは、ちょっと寝坊しちゃって」
「お前でもこんな寝坊するんだな」
鹿島は友人の剛力強のとこに行き女子も鹿島を囲んで楽しく談笑し始めた。
「あ〜酷い目に合った」
「今日はいつもより早いんだな孝いつもだったらギリギリか遅刻だろう」
「流石に2年生の初めから遅刻はまずいと思い早く出た」
「……そうか、それにしてもやはり凄い人気だな」
「まぁ、運動神経抜群に勉学もできさらに容姿もいいこれだけ揃ってたらこうまでの人気になるのは必然だな」
ん?こいつなんか疲れてない今日は少し早く出たと言ったからいつもみたいに走って登校ってわけではないはずだが。
「どうした?」
「お前なんか疲れてないか」
「ああ、それはなあの王子様の後ろにいたから早くそこから消えろと視線で訴えてくる女子に辛くて」
「ああ〜」
うん、納得したすごく納得した。
キンコンカンコン
そんなことを孝と話していたらチャイムが鳴り先生が教室に入って来た。
「おう。お前ら席につけ」
さっきまで話していたクラス全員が自分の席へと戻る。
「まずは自己紹介だなこのクラスを担当することになった新島正だ。よろしく」
「ほっ、優しそうな先生で良かった」
孝が安心したようで肩の力を抜いた。
こいつは家からゲーム機を持ってきて授業中にしてたことがありもちろんその時の先生に没収され1週間後に帰ってきたことがあり孝はそんなこともあり先生全般苦手意識があるのだ。
俺からしたらゲーム機なんて持って来なければ良かったのにと当時は思ったほどだ。
「まずは連絡事項だ嬉しい知らせと悪い知らせどちらから聞きたい?」
「「「嬉しい知らせ」」」
……すごいハモった。
「嬉しい知らせは……なんと転校生がこのクラス来ることだ」
「男?女?」
1人の男子生徒が先生にそう問いかける。
「女だ」
「「「うぉぉおおおお!」」」
まぁ、転校生が女と分かればこうなるよな。
「じゃ、入ってきてくれ」
ガラガラ
教室に入って来た人物は紛れもない美少女と称される人物だった。
キラキラと輝く金色の髪シルクの様な白い肌男の視線を釘付けにする高校生とは思えない豊満な胸まるで別世界から来たような美少女である。
あまりの美しさから男子も女子も言葉を失っていた。
「初めまして鹿島宗介さんの婚約者神楽咲玲奈と言いますこれからよろしくお願いします」
……………
教室が玲奈の爆弾発言で静かになった。
「「「はぁぁああああああ!?」」」
宗介以外クラス全員が驚きの声を上げその声は隣のクラスまで届くかと思うぐらいの声量だった。
「なんであいつばかり……」
孝はというと殺された親の仇を見るような目で宗介を見ていた。
まぁ、孝が好きそうな好みの女性だからな。
パンパン
「はい、静かに」
先生のパンパンと手を叩く音を聞き生徒全員静かになる。
「聞きたいことはあるだろうがそれは休み時間に聞くように」
まぁ、うん、それはそうだ今聞きに行くと収集がつかなくなるからな。
「神楽咲はそうだな橘の隣が空いているからそこの席に座ってくれ」
はぁ!?ふざけんな!?そこは宗介の隣か近くで良いだろうなんで俺の隣なんだ!
「分かりました」
神楽咲は俺の隣の席に座り俺に礼をした。
「よろしくお願いします」
「あ、ああ」
はぁ、俺の平穏な日常が崩れていく。
「悪い知らせは今日の体育体力測定だから」
先生の言葉で教室の空気が一変して凍えるような空気になった。
「「「ふざけんな!?」」」
「はは、良い反応だなお前達」
この先生いい性格してるな。
♢♢♢♢
「疲れた〜」
今は昼休み俺達は食堂で食券を買い空いていた席に座り昼食を食べていた。
「なんで朝から体育でそして体力測定なんだよ」
「もう終わったことだろうに……」
「そうなんだけど今日はなんて悪運が続くんだ」
「悪運だったら俺が一番だろう」
「そうか、あの神楽咲玲奈という美少女転校生の隣だぜ悪運じゃなくて幸運だろう」
俺にとっては悪運だ神楽咲玲奈という女のせいで神楽咲の周りには鹿島宗介並びにその他大勢に囲まれることになった。そしてその隣の席である俺はゆっくり本を読めず挙句の果てにはいつも教室で食っている昼食を食堂で食べる羽目になってしまったのだ。
「はぁ、俺の平和な日常は何処へ……」
♢♢♢♢
放課後
「玲奈ちゃんカラオケ行かない?」
「すみません今日は他に用事がありますので」
チラリと神楽咲は鹿島の方に視線が向く。
「あ〜、そうかごめんね」
「いえ、お誘い頂きありがとうございます」
北条を遊びに誘っていた女子生徒は諦めたようで教室を友達と一緒に出て行く。
俺も本屋寄って帰るか……