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シロバナ

作者: サキ

気がついたら私はどこかにいました。それ以外に私が知っていることはありません。多分どこかから教えられた言葉で、自分の考えをまとめることは出来ました。でも自分が誰で、自分が何なのか、全くわかりません。時間の流れさえもよくわからないのです。何も知らないし何も覚えていないので、私はどうすることもできませんでした。


頭の中の物語が始まってさえいない頃、私の周りで何かが動きました。とても心地よくて、なんとなく落ち着く物。それは私を撫でて、消えたのです。

なんだろうと思ったけれど、しばらくそれはきませんでした。

私はそれがまた欲しくなりました。こないかなとも思いました。でもどうすることもできません。私はやり方を知らなかったので、ただ待つしかありませんでした。


それから暫くして、なんとなく私の周りが整理されて私の居場所が増えたかなと思った頃です。またそれは来ました。しかしそれは、前よりも鋭くて、強かったのです。でもそれは確かなもので、私の形をわからせるくらいの余裕を持っていました。私が知らなかった、隅の方までの私を投げつけてくるくらいの。

私は受けとめきれなくなって、それを逃がそうと思いました。

そこでわたしは自分の機能を知ったのです。


そこから私は、自分の機能を使って以前感じた心地よい物を作ろうとしました。私の隅から隅までを使って作ろうと。すると、心地よい物のようなものはできました。しかしそれは、心地よくはなかったのです。たしかにそれは以前の心地よい物と同じです。でも、なぜか私の中では違って、もう私には整理しきれませんでした。


それでも頑張って私はそれを作ろうとしました。どの時からかは忘れましたが、私は私の作った心地よいものを心地よく感じるようになったのです。ふとした時にそれを自覚して、とても嬉しく思いました。嬉しくて、何度も何度も作り続けました。


ある時、私がいつものように心地よいものを作ろうとしたとき、私の隅がとても軽くなっていることに気が付きました。なんでだろうなと思いました。でもいつもとはちがって、本物の心地よい物を感じられている気がしたのです。とても嬉しくなりました。


しばらくして、私の中心も軽くなって、私は心地よいものになりました。でもそれは冷たかったのです。


あぁ、さようなら。

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