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終わり良ければミナウタエ!

※この物語はフィクションです。

 絶対に真似しないでね!

 ――あれから数年経った。


 どことなく天使ひとの数が増えた気がする。その裏では地獄に残った魔王ディオウスが特殊スキル「洗脳」を使って一度感情を失っていた天使たちの心を再生リセットさせていた。それをヘヴンズフーズの冷凍コロッケを食べたヘルグループの社員がお説教をして新たな天使の輪っかを渡し天国へと帰していたのである。ルンルンが言っていた「心亡き者にられし者は、心在る者に斬られて蘇らるる」とは「悪行を働き地獄逝きになった者は心の有る者にズバッとお説教されて更生される」という意味であったのだ。


 エインたちはというと、もはや有名になったスラムドパークでの客引きをする必要がなくなり再びヘヴンズフーズの冷凍コロッケ製造所で働いている。


「ねぇエイン」


「なんだい、アイリーン」


 作業をしながらアイリーンがエインに話しかけた。


「もう、百年以上も経ってるわよね」


「……うん……」


 彼女の言いたいことがなんとなく分かってしまったエインは頬を赤く染める。その日の作業はいつも通り終わった。夜になり寮の外に出て話していたエインとアイリーン。その様子をこっそり茂みの中で見守っていた仲間たち。


「キスってさ……告白の前にやっちゃいけないと思うんだ」


「だから?」


 エインは意志を固めたように彼女の両肩を掴み正面を向かせて一息吸う。ごくりと息を飲んだのはエインだけではない。アイリーンも緊張してきたのか身体が小刻みに震えていた。いよいよ告白が始まる。エインはどんな告白をするのであろうか。みんなが固唾を呑んで見守っていた。


「アイリーン。ボクは君が……好きりゃ!!」


 大事なところを噛んでしまったエイン。一気に緊張が解ける。それを聴いた仲間たちは笑いを堪えられずに大笑いしてしまった。それに気付いたエインとアイリーンは少しだけ距離をとり仲間たちを咎める。


「悪い悪い、でもアンタらしい告白じゃないか」


 エリッサがそう言うとアヴァロはお気に入りの二胡にこで演奏をし始めた。彼自身は物を言わないが告白のその先を求めている。そんな雰囲気を醸し出していた。音楽を聴いて踊りだすエリッサ。手拍子をするシャルロット。シャロンとコーリン相手に「メリーゴーランド」をするマカロ。天に向かって歌う様に遠吠えするぺディシオン。


「そういえば、お二人もこの際いかがですか?」


 シャルロットがピアズとシルヴァに謎の圧をかける。このムードなら勢いで告白……そしてその先もできるはずではないかとでも言うように。


「シルヴァ様……困りました……」


「私は受け入れます、真っ直ぐな貴方を」


 それはシルヴァらしい告白の仕方であった。二胡にこの演奏や仲間たちの冷やかしは続く。そしてエインはアイリーンの頬に、ピアズはシルヴァの手の甲にそっとキスをした。すると……


「おぎゃー! おぎゃー!」


(!!??)


 突然二人の赤ちゃんが空からゆっくり降りてくる。ドンちゃん騒ぎに目を覚ましたリンリンたちがそれを見るとエインたちを祝福した。リンリンが言うには天国では真に愛し合うものがキスをすると赤ちゃんが天から誕生するのである。


「明日は赤飯だね!」


 シュンシュンの言葉についていけないエインたち。


「大事に育てな。愛情の数だけ成長するから」


 リンリンはそう言うとアヴァロの演奏に合わせて盆踊りのような舞をした。周囲の作業員たちもそれぞれに歌い踊りエインたちを祝福する。


「……エイン、責任取ってよね」


「え?」


 アイリーンが恥ずかしそうに降りてきたばかりの赤ちゃんを抱いていた。シルヴァも同様である。お母さんになった二人は声を合わせて


「この子の名前は何にする?」


 と尋ねる。その間もみなドンちゃん騒ぎであった。その後の彼らがどうなったか? ……それは想像にお任せしよう。



 fin.

沢山ある小説の中から

この小説を見つけてくれてありがとうございます。

そして最後まで読んでくれてありがとうございます!

また次の作品でお会いしましょう!!

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