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かけそば大好き!

※この物語はフィクションです。

 絶対に真似しないでね!

「元々父は裕福ではありませんでした。以前は潰れかけの小さな冷凍コロッケ製造所を一生懸命経営していたのです。しかしある日奇跡が起こりました。()()()()()()()という方が異世界からやってきてくれたのです」


 その名前を聞いてエインたちは驚く。それは生前の彼らがいた世界でいろんな武器や防具などを造ってくれていた者だったからだ。しかし彼の住んでいた街は魔王ディオウスによって破壊されドワーフのカジを含む人々は全滅したと聞いている。だというのならもしかすると……


「冷凍コロッケ製造所を最新型設備にしてくれる腕の良い者が来ないか。僕はそう強く願ったのです」


 (やっぱり……!)


 エインたちは心の中で思っていたことが的中し壮大にずっ転んだ。ランランたちといい天国ここの天使という者はエインたちの世界から人を沢山連れてくる。あの世なんて物は無いと思っていたが思わぬ苦行が沢山だ。しかしそのお陰でエインは仲間たち……特にアイリーンとの絆を取り戻せたのであるが。


「この入り口はフェイクです。本当の入り口は塔の裏側にあります」


 ボンボンという名前の割には質素な格好をしている彼。テンテンとは対照的である。ボンボンに案内されて塔の裏側へ回った。彼の言う通りこれまた頑丈そうなシャッターがおりている。これが本当の入り口であろうか。力持ちのマカロが持ち上げようとするも一向に開く気配は無い。


「あ、また何か書いてあるー」


 コーリンが側にいたアゲハチョウを目で追っていると偶然怪文のようなものを発見した。


 

 けこかけかつけにかいけらかずけんかばかこけじかをけえかずけ


 【かけそば大好き!】



「何ですか、かけそばという物は」


「妖怪の名ではないでしょうか……」


 怪文の横に書かれていた「かけそば」という言葉に反応するシルヴァとピアズ。アイリーンたちが呆れながら説明をしているとエインは一人で怪文の意味を解き明かす。


()()()……きっと「か」と「け」の側にある文字を抜き出せばいいんだ!」


「でかしたわエイン!」


「えへへ」


 アイリーンに褒められて嬉しそうに頭に手をやるエイン。彼はタッチパネルに


 〔こけつにいらずんばこじをえず〕


 と入力した。すると重々しいシャッターがゴゴゴと音を立ててゆっくり開いていく。そこには緑のライトが点滅した大きなエレベーターがあった。ボンボンが言うにはこの塔は二重構造になっていて表の入り口は螺旋らせん状に、裏の入り口はそれを包むように楕円形になっているらしい。とりあえずエインたちはエレベーターに乗って最上階に行くことにする。それは一瞬で彼らをテンテンの社長室まで運んだ。見渡す限り金・金・金……そして虎のオブジェ。悪趣味な部屋の中でテンテンは聖剣シルヴァラールに息を吹きかけそれを丁寧に磨いている。


「……父さん。それをこの子に返してあげてください」


「嫌だ、と言ったらお前はまたここを出て行くのか?」


 ボンボンの要求にテンテンがそう応えた。


「父さんは変わってしまった。僕は頑固だけど冷凍コロッケ作りに一途な父さんが好きだったんだ。それが成り上がるにつれてどんどん性格が歪んでいって……僕父さんの息子であることが恥ずかしいよ」


「……なら出て行きなさーい」


 心なしかテンテンの声が少し寂しそうに聴こえる。


「親子事情はよーくわかったわ。でも聖剣シルヴァラールは返してもらうから!」


 アイリーンがそう言うとテンテンはドワーフのカジお手製だという黄金の盾をエインたちに向けた。ピカッと強く輝いたそれによって彼らは眼がくらむ。エインたちが目を開けるとそこにテンテンと聖剣シルヴァラールの姿は無かった。しかし部屋のどこかに隠れているのは明白である。彼らは社長室を調べてテンテンを捜すことにした。

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