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たまには暗号もどうですか?

※この物語はフィクションです。

 絶対に真似しないでね!

 タクシーで目的地に向かう途中エインたちは派手なトラックとすれ違う。それは金箔で塗り固められた大きな虎の模様があちこちに施されていた。これでもかという派手なフォントで「ゲキヤスフーズ」と書かれたそれはエインたちとは反対方向に走っていく。物流センターへ冷凍コロッケを配送しに行くところなのだろうか。それにしても悪趣味だ……みんながそう思っている中、魔王ディオウスはタクシーの上から振り落とされないように必死にしがみついていた。


 そんなこんなでエインたちはゲキヤスフーズの冷凍コロッケ製造所前まで無事に着く。そびえ立つ二つの黄金の虎のオブジェ。そこに待ち構えていたのは昨日出会ったテンテンだ。彼は気味が悪いほどニコニコと笑いながらエインたちに挨拶をしてくる。


「ようこそ、私の金と権力とコネで築き上げた自慢の冷凍コロッケ製造所まで! 君たちなら絶対に来ると思っていたよ。素晴らしいだろうこの外観は……」


「そんな事より聖剣シルヴァラールを返しなさいよ!」


 テンテンの声をさえぎってアイリーンがそう言うと彼はちょび髭を指でスーッと撫でながらふざけたように「嫌なのだ~♪」とこどものような声で言った。やはり聖剣シルヴァラールはテンテンの元にあるらしい。エインたちが昨日のようにそれぞれの武器をチラつかせるがテンテンは怯える様子が無い。


「脅しても駄目~もう本物のヘヴンズソルトの製造は完成しつつあるしコピーもとった。あの剣は私が窃盗集団フォカッチャーズから高値で買い取ったからもう私のもの。ほら、本物のヘヴンズソルトの製造方法を記したメモ帳ならここにあるよ~それ持って帰っていきなさーい」


 そう言うとテンテンは懐から掌サイズの手帳を取り出す。エインたちがそれに気を取られた隙に彼は逃げ出し黄金の高級車に乗って冷凍コロッケ製造所の奥まで走り去ってしまった。地面に落ちた手帳。彼らはその内容も気になったがとにかくテンテンを追いかけることにする……とはいえヘヴンズフーズの冷凍コロッケ製造所よりもはるかに大きな敷地に手こずっていた。行くところ行くところ黄金の虎と目が合う。そこはまるで一つのダンジョンのようであった。


「シルヴァ様。あの大きな金色こんじきの塔はなんでしょう?」


 ピアズが冷凍コロッケ製造所の右奥に見えた空をも突き破りそうな高く細長い塔を指差す。エインたちが近寄ってみるとそこには黄金の高級車が停まっていた。それを見た彼らはテンテンの社長室はこの塔なのではないかと勘ぐる。中に入ろうと試みるがそこには暗号が記されていた。


 ?×!=12

 !×2=8

 ?×3=9

 ◇×?=15


 【「◇」「?」「!」の順に数字を入力しなさ~い♪】


「数字は得意ではないな……」


 ぺディシオンが頭に手をやりながら文字列を見て呟く。数多のダンジョンを造り出した魔王ディオウスにとってこのような暗号など容易いものであった。


「コホン、お前たち。xとyを使った解き方を知ってい……」


「代入するんだよ。例えば「!」をxに置き換えて考えてみたら?」


 ルンルンが魔王ディオウスの説明をさえぎって分かりやすく解き方をみんなに教えている。「!×2=8」の場合、「x×2=8」⇒「2x=8」⇒「x=4」となるのだ。つまり「!=4」となる。同じ手順で「?」の数字を解くと「3」になった。


「◇×?=15も解けたよ。◇=5だね」


 エリッサが楽しそうに小躍りをする。あとは順番通りに入力するだけだ。エインは緊張しながらタッチパネルの数字をタップする。


 〔5・3・4〕


 すると頑丈そうな金の扉が横にスライドした。どうやら正解だったようである。彼らが中に入ってみると沢山のテンテンの自画像が飾られていた。中央のエレベーターらしき物は動いておらず長い長い螺旋階段のみがエインたちの目に映る。彼らが何気なく見上げると天井らしきものは見えない。そして果てしない階段。それらはエインたちのやる気を奪った。


「……この度は父がご迷惑をおかけしてすみません」


 突然声をかけられ驚くエインたち。振り返ると扉の入り口付近に気の弱そうな目の細い太った男が立っている。彼は自分のことを「ボンボン」と名乗りテンテンの息子である事を打ち明けた。何の当ても無くこの塔を登るよりかは彼の話を聴くほうがいい。そう思いエインたちはボンボンの方へ近寄る。そしてどこか後ろめたそうにしている彼に話しかけた。

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