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合い挽き肉

※この物語はフィクションです。

 絶対に真似しないでね!

(ショッキングなシーンが含まれています)注意!

「じゃあ挽肉に味付けするところから教えるよ!」


「嫌よ、怪我するかもしれないじゃない」


 近くにある機械たちを見ながら悪態をつくアイリーン。


天国ここの奴らは何をやっても死なないよ。一度死んでるんだから」


 それを聞いたアイリーンが、嫌がるエインの腕を両手で引っ張りながら挽肉機の方へと彼を連れて行こうとする。それをリンリンが制止するとアイリーンは、


「ちょっと試してみーよおっと♪」


「うわあああッ!?」


 にこやかに笑いながら、挽肉機の中に、嫌がるエインの利き手である右手を少しだけ入れた。ピューと飛び散る鮮血。絶叫にも近い悲鳴がライン中に響き渡る。騒ぎを聞きつけて、シャロンとシャルロット、シュンシュンが慌てた様子でやってきた。


「一体全体、何事だい!」


「し、死ぬ、死ぬ!」


 不思議な事にエインの右手は再生し続けていた。


「なにやってんだい全く!」


 リンリンは大量の返り血を浴びながら挽肉機から強引にエインを引きはがす。傷跡はない。痛みはなくなった様だが、エインはガクガク震え表情は青ざめていた。


「あらあら……これでは合い挽き肉になってしまいますわ」


 シャルロットが深刻そうに血まみれの挽肉機から出てきたミンチを見つめている。そもそもツッコミどころはそこではないのだが……ちなみにここでは百パーセント牛挽肉を使っているらしい。


 しかしなぜエインの右手は再生したのだろうか。その疑問にシュンシュンが答えた。


天国ここの人間は何度でも蘇るんだよ。痛みや心はあるけど、もう人間だったときの身体じゃない。一体なんの事故かわからないけどここの掃除よろしくね!」


 シュンシュンがそう言うとシャロンが小さな声で、「願いが叶ってよかったね、エイン」と皮肉をぶつける。誰もエインの心配などしていない。そう感じた彼は大粒の涙を流して血だらけの床に膝をついてその場にいるみんなに謝った。


「ごめんみんな。それにアイリーン……愛する君に剣を向けてしまった。ボクはなんて愚かなんだ。ボクなんて嫌われて当然だよね。自分のことしか考えていなかったんだもの。みんなが望むならボクは何度でもミンチになるから!」


「やめな!」


 リンリンが再び挽肉機に手を入れようとするエインを止める。


「もし本当に罪を償いたいなら、ここで真面目に働いて少しずつ仲間たちとの絆を取り戻していくんだよ。前世は知らないけど、弱虫のあんたは悲劇のヒーローなんて柄じゃないだろ?」


 同情にも近い彼女の言葉にエインは号泣した。アイリーンたちもばつが悪そうに互いを見合う。シュンシュンはそんな彼らを見て、


「しばらくは話のネタが尽きそうにないね♪」


 と陽気に笑いながら言った。その後、その場にいるみんなで血まみれの挽肉機や床などを綺麗に掃除し、再びそれぞれの持ち場についた。もちろん、()()()()()は廃棄となった。

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