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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
卒業のあと
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卒業のあと 8

小さいな頃からの知り合いに会い、少し懐かしく感じる。

実家で暮らしているとはいえ、名古屋で活動していることの多い私にとって地元を感じられるのは嬉しい。


「80年代アイドル全集?」

先輩が私の持っていたCDに気付く。


「はい!今度踊る事になったので覚えておこうかなって。」


「そうなんだ!わざわざ買いに来るなんて熱心だな。」


「そんな事ないです…先輩は何を探しに?」

先輩は手に持っているCDを見せる。


「あれ?このバンド…」

見たことのあるジャケット写真。

それは私の好きなバンドだった。


「知ってるのか?ちょっと昔のバンドだけど。」

先輩は嬉しそうに言う。

確か、私が3歳とかそれくらいの時に活動していたバンドだが、1年前にラジオで曲が流れたのを聞いて興味を持ったのがきっかけで知った。


「このバンドよく聞きます!いい曲沢山ありますよね!」

その言葉に先輩は、目を輝かせる。

私もこのバンドを知っている人がいる事に少し興奮していた。


「まさか知ってるなんてな!どれが好き?」

私と先輩は、しばらくそのバンドの話で盛り上がった。

狭い店の狭い棚と棚の間でだ。

ただ、その時間はすごく楽しかったのを覚えている。


ふと、思い出したように先輩は時計を見る。

「あ、ヤバい!そろそろいかないと!」

楽しい時間は、あっさりと終わりを迎えた。

その言葉に、私は少し寂しさを感じる。


「じゃあな!お前も頑張れよ!」

先輩はそう言うと、レジに急ぐ。

持っていたCDを買うと私に手を振って店を出て行く。

その姿を見送ると私はヘッドホンを付け直す。

80年代のアイドルのCDの事を思い出し再び探し始めた。


一通り探し物を終え、店を出た。

時計を見て、少し早足で歩く。

“レッスン場に寄っていこ”

ヘッドホンからはあのバンドの曲が流れていた。

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