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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
新品の2年生
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新品の2年生 28

すべてはあの人のせいだ。

私はそう思うことにした。

だが、実はこの衝動に駆られた理由はもう一つある。


23区トウキョウの新曲披露後、私は自分の部屋に戻ったが、レコーダーはその後もその番組を録画していた。

もう一度録画した番組を見た時、それに気づきなんとなく続きを観ていると見覚えのある声と顔の集団が映る。


「16区ナゴヤ」

昔の仲間達がテレビで曲を披露する。

その時の違和感は忘れない。


「サンプリングオリジナル」

私が最後に参加した選抜曲。

だが、テレビに映る7人の中に私はいない。

私がいたポジションには見知らぬ人がいる。

1期生ではない。

1期生なら分からないことなどあり得ないからだ。


しばらくダンスを見て私の脳裏に1人の人物が浮かぶ。


エントリーNO.6851


この子の事を私は知っている。

オーデションの時、誰よりも輝いていた子だ。

2期生のお披露目から1ヶ月しか経っていない。

なのにもうダンスを覚え、私のソロパートも完璧にこなしていた。

何より堂々としている。

生放送の番組で、1期生に囲まれていても、自分を輝かせることができている。


驚くほど雰囲気がある。

その雰囲気がなんなのか私には表現できない。

でも明らかに確かに空気が違う。

私は頭の中にある女の子を思い浮かべる。


“珠紀に似た雰囲気”

私が同じ世界にいる限り絶対に勝てないと思っているアイドル。

23区トウキョウの中にいても埋もれない存在感。

前に立つ風格。

そう感じさせる何かを持っている。


一抹の淋しさを感じる。

見慣れた、一緒に頑張って来たメンバーはいるのに。

私なんかが最初から居なかった様なフォーメーション。

すでに、このグループは次へと進んでいると分かってしまったから。

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