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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
新品の2年生
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新品の2年生 26

自分のファインプレーに賞賛していた私だが、相変わらず目ではダンスを追っていた。

目で振り付けを覚えようとしてしまうのだ。

一種の職業病といっても過言ではない。

まだ、アイドルの頃の癖は抜けていない様で、自分では無意識にやってしまう。


だが、その目は一点を見つめて留まった。

その目に留まるのはあの人の姿。

しかも、誰かの後ろとかではない。

テレビ画面を独り占めしている。

その姿は堂々としており、初選抜とは思えない風格を持っていた。


どういう経緯で、映っているのかは分からない。

ただ、そういう指示は運営からは出てないと思われる。

今回初選抜のメンバーはあの人を含め3人。

初選抜メンバーに光をあてる気なら全員抜かれているはずだからだ。

ましてや、あの人は妹グループのメンバー。

姉グループを差し置いて注目させる程の立ち位置ではない。


目と目が合う。

きっとテレビを観ていた誰もが思っている。

目は口ほどに物を言うというが、あの人の目は何かを語りかけてくる。

映された経緯なんて今はどうでもいい。

何を訴えたいのか読み取るのが受け手の役目。

その解釈は人それぞれだが。


カメラは別のメンバーをフォーカスし、あの人は映らなくなった。

出したままにしていたお茶の事などすっかり忘れて、私は部屋に戻る。

気づけばベースを取り出し、練習を開始していた。


“恐ろしい人だよね。ズルいくらい”

全国に堂々とその存在感を披露した彼女。

初めて見た外から踊った姿は私に自信を与えてくれない。

早くここまで来いといっている様だ。


鏡の前の自分と向き合う。

やっぱり、1人しか映っていない。

そして、頭の中の自分も1人。

今はただ、ベースを弾きたい。

その意見が身体を動かしている。


一心不乱


ぴったりと合う言葉だった。

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