新品の2年生 18
「レコーディングなんて大層な事言ってるが、要は録音したいんだろ。」
今岡と今岡のおじさんが地下に降りてくる。
止めに行った柄本の姿はない。
「違うんだって!曲をCDにしたいんだ」
必死な顔をして、今岡は食って掛かる。
今岡の言う通り録音とレコーディングは少し意味や、やり方が違う。
「贅沢だな全く。今回は俺がやるから一発で覚えろよ。」
そういうとおじさんはレコーディング機材を準備し始める。
レコーディング用の部屋に置いてあったマイクや、イヤホンを俺たちに渡し、自分はパソコンの電源を入れる。
「とりあえず、オーディオインターフェイスに繋がるコードに楽器を接続しろ。パソコンの接続はこっちでやるから」
オーディオインターフェースとはマイクや楽器をパソコンに接続する機材の事だ。
この機器によって、歌声や、ギターの音をデータ化し、パソコンに録音することができる。
当たり前だが、それ専用のソフトなどが必要で、ソフトに対応しているパソコンがなくてはならないのだが。
俺たちは言われるがままにコードを接続していく。
小さい頃からドラムに接してきたお陰で、接続の仕方は一応知っている。
ただ、教えてもらったものより接続するコードが多い。
記憶を頼りに配線を繋いでいく。
配線しながらオーディオインターフェースを眺めていた。
機械にそこまで詳しくはないが、一目で良いものだと分かる。
それだけではない。
このマイクもそうだ。
どの道具もこだわりが感じられる。
しかも、手入れが行き届いており、どれも使い込まれている。
“この人は何者なんだろう”
俺はパソコンの画面と向き合っている今岡のおじさんを見る。
前から思っていたが、ただの楽器好きな店長のようには見えない。
こんなスタジオを作ってしまう様な人なのだから。
一度今岡におじさんの事を聞いてみたが、彼も過去の事は知らない様だ。
“まあ…深く考えるのはやめよう”
人には色々な過去がある。
もしかしたら、趣味でバンドをやっていたのかもしれないし、お客さんに貸し出す用に作ったのかもしれない。
そう自分を納得させ、横井はマイクのセッティングに入るのだった。




