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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
新品の2年生
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新品の2年生 14

ダンスの練習をしている時のことを思い出す。

講師の先生と一緒に踊っている時は、上手く踊れている感覚がある。

だが、それは錯覚に過ぎない。

いざ、1人で踊ってみると突然踊れなくなる。

それは、先生と一緒に踊っていた訳ではなく、先生の動きを真似していただけだからだ。


何故そうなってしまうのか。

先生の動きは真似できても、感覚を完璧にトレースする事は出来ないからだ。

ターン1つ、ステップ1つにしても先生と全て同じという訳にはいかない。

身体の使い方は、力の入れ方は人それぞれだ。

結果的に同じ動きだったとしても、その動きになるまでのプロセスはみんな違う。

だから、自分の動き方を掴まない限りは上手く踊る事は出来ない。


いわゆる、コツを掴むというやつだ。

それが早いか、遅いかというところが、センスと呼ばれるものに繋がるのだろう。

私はダンスのコツを掴むのが早かった。

動き方のイメージを頭の中で自分なりに工夫していたからだ。

だから、ダンスの振り付けが変わってもすぐに対応出来ていた。


しかし、バンドははダンスの様にはいかなかった。

私は息をゆっくり吐き出し肩を落とす。


「ちょっと休憩するか」

その雰囲気を察したのか、今岡先輩はギターを置き、自分のペットボトルに手を伸ばす。

それぞれ、楽器を置き水分補給をする。


「また、ライブイベントないかな」

豊田先輩が言う。

立ち上がりストレッチをしながら。


「しばらくはないみたいだな。だから、この曲を披露するのはまだまだ先になりそうだ。」

今岡先輩はスマホで、ライブイベントのスケジュールを確認していた。

ちょっと残念な気持ちとホッとした気持ちが入り混じる。

せっかく出来たのだから披露したいし、ステージに立つ事は好きだ。

ただ、この状態でステージに立つ事は出来ない。

人に見せられるクオリティではないから。


「そうか。せっかくだから誰かに聞いて貰いたい位なのにな」

豊田先輩の言葉で私はある事を思い出す。


「あの先輩達、ちょっといいですか?」

先輩達に聞いてみなくては。

先生との約束を果たすために。

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