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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
新品の2年生
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新品の2年生 13

「だから、猫が家垣に登るだろ。」

今岡先輩が叫ぶ。


「今のじゃ階段でも躓くな。」

横井先輩も静かに私を見て言う。

ここは、楽器屋RACKの地下スタジオ。


「すいません!」

私は他の人から見たら意味の分からない事で怒られていた。

これはあくまでイメージの話だ。

いや、それすらもややこしい。

私も頭が混乱しそうになっている。

分かりやすく言うと、ベースの音の出し方の事で怒られているのだ。


「もうちょっとはじく様に弾いた方がいいですよね」

要はそう言う事だ。

ただ、はじき方がイメージしやすい様にこんな言葉を使っている。


「ただ、だいぶ曲になってきたな。柄本もバランス取れる様になってきたし。」

豊田先輩がギターを抱えながら言う。


「確かに。音聞いてても安定してきてるし、自信出てきた感じするよな。」

そう言うのは今岡先輩だ。

先輩達の言う様に自分でも弾ける様になってきたと感じる。

初めて音合わせをした時よりはだいぶマシになった。


バラバラだったあの時から、2週間が経った。

そして、私が初めてバンドメンバーとして参加する曲が出来て1ヶ月。

季節は6月。

外は少し湿っぽい。


この1ヶ月この曲だけを練習し続けていた。

もう何回弾いたかわからない。

ピック弾きも、指弾きも両方試した。

だが、練習していてわかったことがある。

1人で練習している時は思った様に弾けていないと言う事だ。


先輩達と一緒に演奏している間はちゃんと弾けている。

だが、1人で練習しているとミスが増え、上手くいかない。

初めて音合わせした時に私が勝手に崩れていったあの感覚と同じだ。


私は理解した。

私が自分の足で歩いている訳ではない。

先輩達の背中にくっついているだけであると言うこと。

先輩達の歩いてる道をなぞっているだけだということを。

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