表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
新品の2年生
66/417

新品の2年生 12

「気持ちはいつも快晴」

「そんな事あるわけない。」

メモ書きの内容の一部だ。

抽象的で、楽譜を見ていない人には何を言っているかわからないだろう。

あくまで私達が曲を弾く上でのイメージだ。

その為、文章としては意味が分からないものも仕方がない。


自分でノートに写していてもわけが分からない時もあるし、写しながら笑ってしまう時もある。

ただ、楽譜を見ていて思う事は、今岡先輩の曲作りに対するスタンスは変わっていないということだ。


今まで先輩が作ってきた曲は私ではない人がベースとしてこのバンドにいた。

その人の事を私は知らないが、少なくとも私よりは上手いはずだ。

だけど、ベースのパートの難しさは変わっていない。

私のために難易度を下げる事を今岡先輩はしなかった。


その事が私には嬉しかったりする。

私のせいでバンドの方向性が変わる事は嫌だし、先輩達のやりたい音楽を妥協させたくない。

だから、今まで通りでよかったという思いがある。

それに、難しい方がやり遂げた時の達成感が強い。


ノートを写すのに思いの外時間がかかる。

気づいたらノートは10ページを超えている。

それだけ、先輩達と言葉を交わしたという事だ。

先輩達との話し合いは楽しかった。

そして、少しだがメロディなどを変える作業もした。

ちなみにだが、まだ題名は決まっていない。


ペンを持つ手を止めおもむろに自分が着ている制服を見る。

前通っていた学校とは違い、地味。

スカートもブレザーも紺色で、リボンも暗い赤色。

柄もなく、完全に公立校の制服という感じだ。

まだまだ、その地味さに慣れていない。

私は元々派手なものを好むタイプではない。

だが、いくらなんでも無個性な感じがする。


前にも言ったが、私は反社会的だとかカッコつけているわけではない。

ただ、この制服が他人のような気がして、愛着を持てずにいるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ