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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
卒業のあと
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卒業のあと 51

時が止まる。



音が無くなる。



この広い会場で呼吸の音すら聞こえそうだ。


青と白の光を眺めそっと息を吸いむ。


「ただ、こんなステージに立ちたくてアイドルになろうと思いました。でも、ファンの方々やメンバー、スタッフの方々がいなかったらここには立てていませんし、こんな素敵な景色を独り占めできていなかったと思います。

本当に皆さんには感謝しています。


もうすぐ新しい仲間が増えます。

私なんかより、沢山の可能性を秘めた子達です。

だから皆さん、このグループはまだまだ進化すると思います。

皆さんの期待を超えていけると思うので楽しみにしていてください。


さて、卒業を発表してから今日まで、アイドルがなにかをずっと考えてました。

溺れてしまいそうなほど沢山の思い出の中を潜ってずっと考えてました。

潜っても潜っても答えは出ませんでした。

でも今日この場に立って、皆さんに囲まれて、一つだけ分かったことがあります。

皆さんが、私をアイドルにしてくれていると言う事です。

アイドルは自分で自分を決める事の出来ない唯一の職業だと思います。


賛否両論あると思います。

ですが、いくら自分がアイドルと言い張っても皆さんが認めなかったらただの女子高生でしかありません。

ファンの皆さんがいるからアイドルとして、このステージに立てていられます。


私はここまでです。

もっとこのグループがどうなって行くのか知りたかったし、もっとメンバーと一緒にいたかったと言う気持ちはあります。

でも、別の道を見つけてしまいました。


新しい景色を見たくて、新しい自分を知りたくて、新しい仲間と、新しい道を歩きます。

自分を自分で決めてみようかなと思います。


ファンの皆様、こんな私でしたが、最後にこんな綺麗な景色を用意してくださりありがとうございます。

皆様には感謝しても感謝しきれません。


そして、今まで一緒にいてくれたメンバーのみんな。

本当にありがとう。


最後に、私のアイドルの証である自己紹介をして終わりたいと思います。

行きますよ…


上から読んでも


(((えもともえ)))


下から読んでも


(((えもともえ)))


今日も私は


(((絶好調です)))


ありがとうございます!

岐阜県出身16歳

柄本萌(えもともえ)

でした!」


歓声を吸い込むように、深呼吸する。

肺いっぱいに想いが浸透して行く気がした

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