表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
卒業のあと
51/417

卒業のあと 50

この景色を見られるのは私がアイドルで今まで頑張ってきたから。

そう思えるコンサートになった。


リハーサルの前に見ていた誰もいない客席は一面私のトレードカラーだった青と白に光り揺れている。

こんなサプライズは聞いていなかった。

ファンの方々は普段、それぞれ好きなメンバーのトレードカラーのペンライトを振る。

こんなに揃っているのは、誰かが言わないとまとまらないはずだ。

泣かないと決めていたのに、一面に広がる青と白の光がぼやけていく。


「夢は大きく、理想は高く」

円陣を組むときはいつもこの言葉を叫ぶ。

目指すのは100%。

ファンの方々が楽しんでくれる事を想像し続けた。

だが、目指せば目指すほど遠かった。

今日のこの景色はそんな私へのファンの方々の評価なのかもしれない。


とびきりの時間を過ごしてきた。

同じ16歳の女子高生では体験出来ない様な時間を。

思い返せばキリがない位濃い時間だ。

そんな時間ももう直ぐ幕が降りようとしている。

シンデレラの魔法が解けるように、このコンサートが終われば私はアイドルから普通の16歳の女子高生に戻る。


セットリストもあと1曲を残すのみとなった。

魔法が解けようとしている。

最後の役割を果たすため、広いステージを歩く。

右手にはマイク。

周りには誰もいない。

ファンの方々のペンライトが眩しく感じる。


正直言えば、何にも準備していない。

何にを話せばいいか。

原稿なんていらない。

今までの経験が口を動かしてくれる。


ステージの中央までたどり着く。

不思議と緊張はない。

なんなら周りを見渡す余裕すらあった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ