表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
卒業のあと
5/417

卒業のあと 4

「本当ですか!恥ずかしい…」

慌ててパーカーの袖で口元を拭う。

拭いた後の袖を見るとしっかりとソースがついていた。


「1人でたこ焼き食べただろ。」

ズバリその通り。


"楽器屋RACK”

中には様々な種類のギターがずらりと並んでおり、古びた外観とは裏腹に店内は意外とオシャレにまとめられている。

ただ、ギターが店の大半を占めており他の楽器が申し訳程度に隅に置いてある。


その一角に置いてある使い込まれた木の机、そこが私たちの溜まり場だ。

もちろん勝手に決めたのだが。


「相変わらず食いしん坊だな嬢ちゃんは」

店の奥から無地の白シャツを来た男性が現れる。

身長が高く細身でインディゴブルーのジーンズがよく似合う。

髪が長く後ろで結んでおり、パーマをかけているのか毛先が跳ねている。

この店の店長だ。


「こんにちは店長。ちょっと我慢できなくて…」

私の頬が熱くなるのを感じる。

この人と喋ると調子が狂う。

歳は50を超えていると聞いた事があるが、それも相まって渋いかっこいい大人なのだ。

多分私が男でも惚れ惚れすると思う。


そんな店長だか、不思議な事に楽器屋の雰囲気にあっている。

店長の存在で楽器が霞むわけでもないし、楽器の存在で店長が霞むこともない。

森の中に木があるように、お互いにそこにあって当たり前のように混じり合っている。

だから、この店は好きだ。


「これ!張っておいたから!」

そんな店長が黒いギターケースを差し出す。

その仕草も自然だ。


「あ、ありがとうございます!」

深く頭を下げる。

やっぱりこの人を前にすると調子が狂う。

それを隠すように慌ててギターケースを貰い蓋を開ける。


中には真っ白なベースが入っていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ