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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
卒業のあと
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卒業のあと 48

ここでも圧巻のパフォーマンスを見せたのはエントリーNO.6851


歌唱審査もダンスも最後まで群を抜いている。

誰よりも輝いていた。

周りの候補生ですら叶わないと少し諦めているくらい。


“これが違和感の正体か。”

この光景を見て引っかかっていた何かがわかった。

珠紀もそれに気づいたようだ。


全員の審査が終わり選考を行なった。

合格したのは全部で11人。

応募総数1万4362人の内の11人。

その中にエントリーNO.6851の子もいる。


この輝きがどうこのグループに影響を与えるのか。

そして、この違和感が吉と出るか凶と出るか。

あとは珠紀に、今いるメンバーに任せるとしよう。


こうして、5ヶ月間の長いオーディションが終了した。


私も選考の役割から解放され残るは卒業コンサートを残すのみとなった。

とはいえ卒業まで残り1ヶ月を切り、コンサートに向けてのレッスンも追い込みに入っていた。

取材なども落ち着き、レッスンの日々を送ることができていた。


思い返せばこの半年で沢山学ぶことがあった。

卒業のあとに活かせるようなことだらけだ。

普通に生活していたら体験出来ないようなことを与えてもらえた。


最後にメンバーやファンになにを返すか。

それが私のアイドルとしての見せ場だ。

3年間の集大成を見せなければならない。

その事を考える1ヶ月だった。


今日は珍しく2人揃って居残り練習していた。

恐らくこれが最後の居残りだろう。

結局あの人との溝は埋まらなかったし、まだまだ花開く才能をそばで見ていられないのが心残りだ。


「最高のコンサートにするから。」

突然振り向いたあの人は私に向かってそう言った。

その目は女優ではなく、1人の友達としての優しい目だった。

ペットボトルを私に渡すとあの人はレッスン部屋を後にする。


その背中を忘れないように目に焼き付けておこう。

これからは、別の背中を追っていく事になるのだから。

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