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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
卒業のあと
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卒業のあと 45

2次選考は面接と歌唱審査が行われる。

この時点で、1次審査を通過した人数は300人を切っていた。


私と珠紀はスタッフの格好をして選考会場に紛れ込む。

私達が選考に参加していることは運営スタッフ以外には秘密であるため、身分を隠して選考を行う事になったのだ。

なんだか潜入捜査みたいだと珠紀は、はしゃいでいた。


面接は自己アピール、歌唱力テストは自分の好きな曲を歌う。

自己アピールは3分、歌唱力テストも1曲のみ。

しかしこの短い時間でも、頭角をあらわす子がちらほら出始める。

私も珠紀も分かるほど歌の上手い子、アピール力のある子が何人もいた。

中でも一際目立った人物が1人。


エントリーNO.6851


その子は選考に携わる誰もが話題に出すほど歌が上手い。

まるで、ビルボードチャートを席巻する歌手の様な迫力と表現力。

しかも、ルックスもよく愛嬌は抜群に良い。

面接の評価ももちろんトップ。


3次審査に駒を進めたのは47人。

その子も文句なしで通過していてた。


「こんな子がどこにも所属せずにいたなんてね。」

珠紀が、そういったが私もそう思う。

歳は私より1つ上。

もしかしたら、昔子役だったり何処かのアイドルグループに所属していたのかもしれない。


「でもなー。なんかなー。」

なんだろう。この違和感は。

これだけ完璧だと裏がありそうな気がしてしまう悪い癖だ。

捻くれ者な性格だと自分も思う。


「あーでもその感じ分かるかも。」

珠紀も何かかしら感じている様だ。


3次審査はダンス審査。

その場で課題曲を出され3日後、ダンスを披露し審査をする。

ここに来てなぜか私は、ダンスの見本をやる事になった。

もちろん、身分を隠すため変装してだが。

そのため1日でダンスを覚え、候補生の前で踊った。


その時、NO.6851の子は私の一挙手一投足に目を向け私の動きを観察していた。

そして、4分ある課題曲を1時間で覚えてしまったのだ。


やはり周りより群を抜いて早かった。

なんなら、私より早かったかもしれない。


“西村珠紀の再来”

スタッフの間ではそう噂され始めていた。

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