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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
卒業のあと
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卒業のあと 44

テレビ番組での初披露後、16区ナゴヤの5thシングルが発売された。

ダブルセンターや選抜7人など新しい試みをした今回のオリコンランキングが発表された。


オリコンランキング1位

16区ナゴヤ「サンプリングオリジナル」


マネージャーから連絡を貰った時、私とあの人は一緒に取材を受けていた。

だから、一緒に泣きながら喜んだことをよく覚えている。


「よかった…」

顔をぐちゃぐちゃにしながら泣くあの人。

ステージにいる時の迫力はなく、いつものか弱そうな姿。

その姿を見て、私も泣く。


「頑張ったね。本当に頑張ったよ。」

化粧も取れてしまい後でメイクさんに怒られた。

ちなみに、連絡をくれたマネージャーも大号泣していた。


それも追い風になり、オーディションの応募も順調に増えていた。

応募総数は1万4362人。

一期生の募集の時が8724人だった事を考えれば殆ど倍だ。


この人数から10数人を選ばなくてはならない。

シングル発表の次はオーディション選考。

私と珠紀は事務所に呼ばれていた。


そこでは、沢山の大人達と、とんでもない量の履歴書に圧倒されながら一つ一つに眼を通していく。

一次選考、書類審査。

書類に眼を通すだけで3日かかった。

でも、みんなアイドルを夢みて、私達に憧れて応募してきたのだからこちらもしっかり受け止めなくてはいけない。


途中で鳩崎先生も加わり、書類選考が本格的に始まる。

大人達が真剣に話し合いをしていく。

私達も意見を求められ時々話に加わるが、真剣な雰囲気に少し話しづらい。


“私もこうやって選ばれたんだな”

そう思うと、今立っている場所の重みを感じる。

8724人の内の一人の私。

オーディション選考を受けていた時を思い出す。

生半可な気持ちで、次の世代の子達を決めてはいけない。


背筋を伸ばし、自分の意見をしっかりと伝える事。

私に出来るのはこれだけだ。


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