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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
あの子は透明少女
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あの子は透明少女 14

なんで忘れちゃうんだろうな。

化粧をしながら考える。


あの時の、あの感覚はずっと身体に刻みつけられたはずなのに。

トラウマにすらなりそうだったに。

23区トウキョウと一緒にライブに出るのすら怖かったはずなのに。


少しずつライブ会場が大きくなって行く内に感覚が麻痺していたのだろうか。

はたまた、16区ナゴヤの選抜メンバーとしてテレビに出て、自信を持ってしまったのかもしれない。


「俺達の演奏は!!近くまで行かなくたって届くんだよ!!」

上手い。

さっきのバンドのアピールを上手く利用している。


今演奏しているのは「fishing is good」

この人達は本当に楽しそうに演奏する。

観客との会話をしているかの様に。


それは観客も同じ。

ギターから放たれる音を精一杯に受け止め、ボーカルの声に身体を預ける。


これが一体感。

いいライブにはこれがある。

観客と演奏者という関係性を飛び越え、一緒にライブを作っているという錯覚。


どれだけライブ慣れしてるんだ。

こんな広い会場でライブしたことの方が少ないだろうに。

ライブハウスとは明らかに感覚が違う野外ステージという特殊な環境を難なく乗りこなしている。


野外ステージは音が反響しにくい。

壁がない為、音は様々な方向に拡散してしまうから。

そのため、どうしても全体的な音のボリュームが求められる。

そうしないと、ステージの端まで音が届かない。


ライブハウスでは身につかないもの。

野外ステージに立ってみないと掴めない感覚。

加えてこの広さ。

さらに難しいはずだ。


私達だって最初は戸惑った。

リハーサルでステージに立つと全く声が通らない。

聞いてはいたけれど想像以上だった。

演出の方に声を張れと怒られたりもしたものだ。


私の卒業コンサートも野外だった。

大変な事もあるけど、夕日や夜空を背にパフォーマンスをする事ができる。

ファンの方々と一緒にずぶ濡れになりながら歌う。

ライブの思い出は野外の方が濃く残っている。


そこまで思い出して私は頭を振る。

何を振り返っているのだ。

今の自分は普通の女子高生。

もうアイドルではない。

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