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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
卒業のあと
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卒業のあと 40

ダンスの全体練習が終わり、私は雑誌の取材を受ける為レッスン場を離れた。

卒業発表をして以降、ありがたい事に取材を受けるが増え仕事の合間やレッスンの後にインタビューを受けていた。


内容は卒業の事が多く、理由や卒業後の夢などを聞かれる。

ただ、その事に関しては音楽を勉強するとしか言わない為、記者の方も苦い顔をしていた。

それ以外だと、ダブルセンターや、7人しか居ない今回の選抜などについての感想などを求められるが、その度に心臓に負担がかかる。


この日も、レッスン場近くの喫茶店で2つの雑誌の取材を受けた。

30分のインタビューだったが、それぞれ似た様な質問から始まり、色んな角度から私の事についての質問をされた。


”ソロでのインタビューなんて殆ど無いから緊張するなやっぱり。”

メンバー何人かでのインタビューはあったが個別ではデビュー以来かも知れない。

こうして、記者と1対1で取材を受けていると、言葉選びに苦労する。


お互いに初対面。

素の私の意見と、アイドルとしての私の意見のどちらを記者が求めているのかをまず見極める必要がある。

しかし、隣に誰もいないと考える時間も少なく、人の意見を聞く事も出来ない為、短い時間でそれをやるためにはやっぱり頭を使う。

しっかりキャラのあるメンバーなら楽なのだろうなと羨ましくなる。

これもまた勉強だ。


「学ばせてもらってます先生。」

何故か鳩崎先生の顔が浮かんだ。

1回しか会っていないのに不思議だなと思いながら、私は取材を受けていた喫茶店から出る。

飲めないがコーヒーの匂いに少し後ろ髪を引かれ、いつかまた来ようと思える雰囲気の場所だった。


外は蒸し暑く夏はすでに始まっている。

7月でこの暑さでは8月にはどうなってしまうのだろう。

そんな事を思いながら足を進めるのだった。

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