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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
あの子は透明少女
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あの子は透明少女 8

「これはやってくれたな」

豊田先輩は苦笑い。

「fishing is good」のボーカルの人も苦笑い。

私も苦笑い。

控え室いた誰もがモニターを見て苦笑いしている。


このバンドの後じゃなくてよかった。

誰もがそう思っただろう。


強烈なステージパフォーマンス。

今までとは違う刺激に観客も興奮しているのだろう。歓声と共に拳を挙げる。


「やっぱロックは暴れてこそやろ!」

拡声器を持ち縦横無尽にステージを駆け回る関西代表のボーカル。

歓声を聞き勢い付いたのか、パフォーマンスは更に激しさを増す。


「話してた側からこれだよ」

言葉ではこれだがら「fishing is good」のボーカルの人はなんだか嬉しそう。

相変わらず想定外の事が好きな様だ。


「この舞台でこれが出来るなんて相当強心臓ですよね」

私も苦笑いこそしたが関心もしている。

誰もが緊張するであろう舞台で、カメラがいて、大人が沢山関わっているにも関わらず、それを乗り越えてパフォーマンスをしているのだから。


「確かにな。絶対後でスタッフに怒られるぞあいつら」

モニターに気を持っていかれ、話さなくなった豊田先輩を横に私達は会話を続ける。


控え室にいてもスタッフさん達が慌てふためいているのが伝わるくらいだ。

きっと本部の方は相当慌てているだろう。


「記録より記憶。自分なりのロックを体現しようとしているんですかね?」

これはアイドル時代に歌った曲の歌詞の受け売り。

ロックスターは創造と破壊を表現するというの内容の曲だった。


「どうだろうな。こういう奴らこそ案外ちゃんと考えて、敢えてやっているなんてこともありえるぞ。観客の印象に残すためにな」

そうなると話は変わってくる。

モニターで見る汗をかき、髪を振り乱しながら演奏する姿。

それすら、疑わしくなってくる。


さっきまで少し尊敬していたのが、嘘みたいに急に腹が立ってきた。

真意が分かっている訳ではないのに。

人のイメージとは見方を変えるだけでこうも変わってしまうのだと、身をもって知った。

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