あの子は透明少女 2
「どーもー!!」
アルトビーツのスペーシー平尾さんと朝井亮太さんがステージに上がる。
「今日はお集まりいただきありがとうございます。本日の司会進行を務めさせていただきます。スペーシー平尾と」
「朝井亮太です。よろしくお願いします!」
リハーサルの時より声量がある。
これだけの広い会場だがスピーカーはしっかり機能しているため、そこまで声を張る必要はない。
ただ、ステージに立つ人間なら分かる。
声を張らないと端まで届かない気がするのだ。
観客ブースがざわつき始める。
でも、これは決してアルトビーツに対するざわつきではない。
失礼だがファンだからこそ気付いてしまう。
彼らは少なくともスターではないからだ。
「まあね、我々の自己紹介は早めに終わらせて応援ガールを呼び込みましょう」
朝井さんの前口上が終わると会場は一気に湧き上がる。
そう、観客はこの人を待っていたのだ。
「今話題のモデルと女優の二刀流。三石昴さんです!」
呼び込まれる声と共に制服姿で出て来た女の子。
いや、女性といった方がいいかも知れない。
加奈子と同じく凄く大人びている。
身長は私より断然高く、目がキリッとしていてショートカットがよく似合う。
モデルというだけあってスタイルがいい。
特に足が長い。
スカートも決して短い訳ではないのに。
恐らく私が同じタイプの制服を着てもこの様にはならない。
「皆さん!おはようございます!三石昴です!」
挨拶をしただけで大歓声。
出演者達も一目見ようと控え室から出て、舞台袖に集まっている。
自分達もステージに立つという事なんかすっかり忘れて。
それもそのはず。
雑誌の専属モデルとして表紙も飾れば、ドラマでもヒロイン役をこなす今をときめく人なのだから。
これで私と同じ17歳。
芸能科とはつくづく選ばれた人達の場所なのだ。
世の中の厳しさを身に染みて感じる。
「さて、三石昴さんにはこれから開会宣言をしてもらおうと思います!お願い出来ますか?」
そう言うとスペーシー平尾さんはスタッフに合図を出す。
すると、スタッフさんは舞台袖からギターを持ってきた。
真っ赤なエレキギターを。




