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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
多分、アップビート
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多分、アップビート 29

夢を見ているかの様だ。

いつも一緒にご飯を食べていた女の子が、一瞬で大人になっていた。

私に会うたびに泣いていたのに、今は真っ直ぐに前を向いている。

同世代の猛者達を相手にし、勝ち抜いた彼女は確かな自信を手に入れた。

これから背負って行く栄誉と共に。


一夜にして人は変わる。

ステージでスポットライトを浴びているのは私の知っている小高加奈子ではない。


表彰式が終わるとロビーでは報道陣が入賞者にインタビューを始めていた。

加奈子ちゃんのお母さんと共にロビーへと足を運ぶ。

おめでとうと一言言えたらいいと思ったからだ。


報道人に囲まれる加奈子ちゃん。

慌てる様子もなく、堂々とした立ち姿。

アナウンサーの母の血を継いだおかけだろうか。

丁寧に質問に答えていた。


その姿を遠くから覗く私達。

一向に取材は終わる気配がない。

後日、日を改めた方がいいだろうか。

そう思い、引き返そうとすると彼女と目が合った。


「待ってください!」

加奈子ちゃんは報道陣をかき分け、私に飛びついた。


「おめでとう!やっぱり加奈子ちゃんは凄いよ」

彼女の大胆な行動に驚いたせいか、単純な言葉しか出てこない。


「萌さんのおかげです。私を成長させてくれてありがとうございました」

さっきまで大人の表情を見せていたはずの彼女は、私の胸で涙を流し始める。


「私は何もしてない。加奈子ちゃんが頑張った結果だよ」

私も彼女を強く抱きしめる。


「そんな事ありません。萌さんから色んな事学ばせてもらいました。萌さんがいなかったら私は頑張れませんでした」

私の胸の中で嗚咽するほど泣いてしまった加奈子ちゃん。

私も涙が溢れ始める。


「それならさ、もう敬語は辞めない?私とあなたはもう親友でしょ?」

精一杯の笑顔で私は言った。

涙で声が掠れそうになるのを堪えながら。


加奈子ちゃんは顔を上げ頷いた。

泣きながら微笑んで。


「これからもよろしくね萌」

涙を拭いて笑い合うと、一気に視界が眩しくなる。

報道陣に一部始終を見られ私達。

お互いに顔を真っ赤にしたのだった。

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