表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
多分、アップビート
390/417

多分、アップビート 25

結果が決まるまで時間がかかる様で、30分の休憩となった。

長い長い30分。

控え室にいる加奈子ちゃんには永遠の様な時間だろう。

考えただけで身体が震えてくる。


「あなたが柄本萌さん?」

私の脈動が上がっていく中、再び金木犀の香りが声と共にやってくる。


「はい。そうです」

より早くなる脈動。

聞き覚えのある声。

だけど、トーンは落ち着いている。


「隣座ってもいいかな?」

私は導かれるままに頷くと、その人は隣に座った。


「私は、小高加奈子の母です。いつも娘が迷惑かけている様でごめんなさい」

凛とした佇まい。

端正で切れ長な顔立ち。

黒く艶のある長い髪。

名乗らなくても分かる。

この人が加奈子ちゃんのお母さんなのだと。


「迷惑だなんて滅相もないです。こちらこそ娘さんにはお世話になっています」

声のボリュームが大きくならない様に、気をつけながら頭を下げる。


「娘が言う通り綺麗な顔立ちをしてますね。流石アイドルをやられていた方」

顔を上げると、加奈子ちゃんのお母さんは真っ直ぐに私の顔を見ていった。


同性の私でも羨ましくなるほど綺麗な人。

流石、大学のミスコンで準グランプリを取るだけのことはある。


「今日は娘の為にわざわざ観に来てくれてありがとう」

優しく微笑む姿も本当に加奈子ちゃんに似ている。

姉妹だと言われても気づかないほどに。


「いえいえ。いい勉強になりました。娘さんは本当にいいトランペット奏者ですね」

私がそう言うと、加奈子ちゃんのお母さんは少し嬉しそうな顔をした。


「加奈子は、小さな頃からトランペットを吹いてきました。少し才能があった上に、本人が好きだったのもあります。今回の様なコンクールにも度々出て、結果もそれなりについて来ました」


「勉強も何も言わなくてもやっていたんです。頭のいい子なので、留学も視野に入れていたのでしょう。結果、友達は1人もいませんでした。毎日の様に練習の為に名古屋に通って、家に帰っても練習と勉強。友達を作る暇もなかったんでしょう」

お母さんが話しているのは加奈子ちゃんの過去。

私は彼女の事をまだ全然知らなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ