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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
卒業のあと
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卒業のあと 38

過呼吸になりかけている私の肩を誰かが優しく叩く。

「息は吸うものじゃなくて吐くものだよ。」

私はゆっくりと息を吐く。

身体に酸素が回っていく感じがする。

呼吸が安定し、周りを見る余裕も出てきた。

私の呼吸が安定したのを確認し安心した表情をしているのはこのグループのキャプテンだった。


「ありがとうキャプテン。」

弱々しいながら私は笑顔を見せる。

こんな状態でも私の異変に気付けるのがキャプテンのすごいところだ。


「そりゃびっくりするよね。私もびっくりして靴脱げちゃった。」

どうしたら立っているだけで靴が脱げるのかは分からない。

でも、ちょっとドジな所もあるのがキャプテンのいいところでもある。


片田里未(かたださとみ)

16区ナゴヤの初期メンバー。

このグループのキャプテンで、私の4つ上の20歳。

身長は私よりも高く、髪はロングで肩より長い。

足が長くとてもスタイルがいい。

視野が広く周りのメンバーの事をよく見ており頭もいいが、少しドジ。

メンバーを引っ張るという役目は西村珠紀が担いっており、キャプテンは周りに愛されるタイプ。

選抜には毎回選ばれており、いつも2列目にいる。

ダンスがあまり得意ではなく、よく私がダンスを教えている。

ちなみにキャプテンは、メンバーの投票で満場一致で決まったという経緯がある。


“鳩崎先生はやっぱり恐ろしい人だな。”

新しい事に挑む事になったグループと私。

このグループを去るというのに、ゆっくり準備もしてられない。

やる事は山積みだ。

前にいる2人を見ながらそう思った。


「皆さんも驚いていると思いますが、正直私達も驚いています。ですが、選ばれた以上今回はこのメンバーで責任を持ってやっていきたいと思います。応援お願いします。」

片田キャプテンはこんな時でも、落ち着いている。

その声に、状況を飲み込めないままいたメンバーも冷静さを取り戻しつつあった。

こうして、大歓声の内にライブが終了したのだった。

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