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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
多分、アップビート
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多分、アップビート 22

人を魅了出来るのは技術だけじゃない。

入賞する人物は必ず観客や審査員を魅了する力を持っている。

小さい時から何度もコンクールに出てきた私は、その事を嫌というほど感じてきた。


だから、柄本萌の様になろうと思うようになった。

画面で彼女が踊る姿を見た日から。

彼女が踊る姿を何度も何度も見て勉強する。

画面を、見なくても踊る姿が頭に出てくるくらいに。


ただトランペットを吹いても見つからないもの。

どれだけ練習しても得る事できなかったそれを、イメージで補う。


それを考えて演奏をしていたら、少しづつ結果が出てきた。

コンクールでも入賞出来る様になったのだ。

俄然練習に打ち込む。

頭の中のイメージを音にするために。

このコンクールに出られたのも、その積み重ねの結果だった。


ただ、今回のコンクール出場の有無を凄く悩んだ。

結果を残した実力者のみが集まるこのコンクール。

今までのどのコンクールよりレベルが高いのは間違いない。

これにでる事で自分の立ち位置が嫌でもはっきりするだろう。

自分の実力はこの世界では通用しない。

それが分かってしまうと考えると凄く怖くなった。


入賞はあれど一番になった事はない。

最高で3番手。

周りの演奏者達は若くして賞を取り、世界に羽ばたいていく。

そんな光景をただただ見せられ続け、私の心は折れかけていたのかも知れない。


そんな私の目の前に柄本萌が現れた。

今でもその時の事は忘れない。

下駄箱で何の気なしにすれ違ったあの瞬間を。


彼女は誰の邪魔もしなかった。

下駄箱で上履きに履き替える生徒も。

友達と仲良く話しながら廊下を歩く生徒も。

前からここにいる事が当たり前であるかの様に。

人の流れを止める事なく、職員室に歩いていったのだ。


ファンであった私ですら、一度は気付かずにすれ違った。

ただ、他の生徒と違ったのはすれ違った瞬間鳥肌が立ったのだ。


振り返って彼女の存在を認識した時、そのオーラに驚愕した。

さっきまで日常の風景だったものが幻であったが如く、明らかに違和感が有る風景へと変えてしまうのだから。

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