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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
多分、アップビート
380/417

多分、アップビート 15

これが、コンクール。

格式と伝統を感じるクラシックの重み。

素人の私にはその深さがどのくらいあるのか分からない。

ただ、肌で感じるこれは言葉で語るにはおこがましい程の質量がある。

自分がこの中で演奏する事を想像するだけで胃が痛くなりそうだ。


「演奏順15番。小高加奈子」

そんな中で加奈子ちゃんがアナウンスされる。

どうやら私は彼女の演奏までに間に合った様だ。


エメラルドグリーンのドレスに身を包んだ彼女。

髪の毛はハーフアップにし、青色の髪飾りがよく映える。

一緒にいる時の様なあどけなさはない。

ドレスが似合う大人の女性の装いだ。


綺麗な立ち姿。

凛としていて華がある。

拍手に対し微笑みながらステージを歩いているが、目は真剣そのもの。

今から挑む壁の大きさが目から伝わってくる。


伴奏者がピアノの前に座った。

鍵盤を一つ叩く。

広い会場に響く弦が揺れる音。

その音の余韻が消えると、会場が静寂に包まれた。


加奈子ちゃんがトランペットを構える。

伴奏者に目配せ。

そして、肩が僅かに上がった。


ピアノの音がする。

それは力強く、勇ましさのある音。

それに負けない程力強い音色を奏でるトランペット。

彼女の前に演奏していたドイツの人にも劣らない強さだ。


その音は真っ直ぐに私達に向かってくる。

暴風の中を歩くが如く、強靭な信念で。

あの細い身体からは想像できないほどの芯の強さ。

ヒールを履いているはずなのに、その足はしっかりと地面を掴んでいた。


曲が進むと、目の前に大きな武装した軍勢と軍勢が見えてくる。

鼻息の荒い、臨戦態勢で睨み合っている両軍。


すると、エメラルドグリーンのドレスが甲冑に見えてくる。

彼女は武装し、今にも戦場の中に飛び込んでい来そうだ。

突撃のラッパの合図。

馬に乗り一気に大群の中に突っ込んでいった。


彼女の行先に道が出来ていく。

周りにいた兵達が道を切り開いていくのだ。


彼女は旗を背負い真っ直ぐ進んでいく。

止まる事なく。

ただ、目的の地を目指して。

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