表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
卒業のあと
38/417

卒業のあと 37

そのライブで2期生を募集するという発表もされた。

ファンもそしてメンバーにもその事は通達されていなかった為、みんなが驚いている。

ただ、私と珠紀が選考に関わるという事は伏せられていた。

でも、それだけでは終わらない。


5thシングルの選抜発表がこのタイミングで行われたのだ。


ここまででもだいぶサプライズが続いたと思う。

だが、まだサプライズは終わらない。


ステージの大画面に映された小さな丸の塊で構成されたフォーメーションの図。

丸の中には名前はまだ入っておらず数字が入っている。

その丸の数は7個。

もちろん数字は7までしかない。

2列しかない上に後列5人、前列2人のフォーメーション。

今までならもう1列あり、全員で12〜15人いた。

選抜メンバーが7人な上にダブルセンターという初めての試み。

もちろん「23区トウキョウ」でも行われた事がない。


ファンもメンバーも状況を飲み込めずにいる中、端にある大きい数字から順番に選抜メンバーが発表されて行く。

後列は、ずば抜けて明るい子、歌が上手い子、グループのまとめ役の子、ファンから人気のある子、次々に呼ばれ前に出ていく。

そして私も後列に収まった。

ちなみに私はダブルセンターのすぐ後ろ、後列5人の中の真ん中の位置だ。


そして、問題の前列2人。

1人は不動のセンター西村珠紀。

そしてもう1人の名前が呼ばれた時、一瞬会場から音が消えた。

人は驚き過ぎると声を発さなくなるというのをこの時知った。

そして、私は呼吸すら忘れてしまっていた。


会場から音が消えた瞬間、誰よりも驚いたのは呼ばれた本人よりも私だったと思う。

何故なら、その人物を選んだのは私なのだから。

自分の一存でグループの一番大事なセンターが決まったという事実に押し潰されそうになっていた。

観客席からの歓声でやっと呼吸を忘れていた事に気付き必死で呼吸をする。

酸素が足りない。

身体中の血液が循環するスピードを上げ、心臓が悲鳴を上げている。

必死に空気を吸おうとするが上手く吸えない。

気持ちだけが焦っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ