表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
多分、アップビート
379/417

多分、アップビート 14

「リハーサルが押すと思うから間に合うか微妙だけど、加奈子ちゃんの演奏必ず聴きに行くから!」

私は言葉に力を込めて言う。


「わざわざすみません。でも、萌さんが来てくれるなんて嬉しいです」

彼女の声は落ち着いている。


「なんか落ち着いてるね。私なんて今から緊張しちゃってるのに」

冗談っぽく彼女に言っているが、これは私の本音でもあった。


「ちょっとは緊張してますよ。でも、慣れてますから」

彼女はいつもそう言う。

それは、自分に言い聞かせるように。


やっぱり加奈子ちゃんもプレッシャーは感じている。

私が観に行きたいと言った時、泣かなかったのも、力強く言ったのもそう。

プレッシャーをかき消す為。


それが分かる様になったのは、この大会を戦って来たお陰かも知れない。

ただ、本人に確認はできない為もしかすると勘違いかも知れないが。


会場の照明が暗くなり、次の演奏者が呼ばれる。

ドイツ人の男性だ。

金髪で背が高く、持っているトランペットが小さく見える。

背筋も伸び自信を感じる佇まいだ。


演奏が始まると、力強くトランペットを演奏する。

自信がある佇まいをしていただけあって、音が伸び伸びとしていた。

扉越しに聞いていた、先程の人の演奏よりかなりいい。


曲調も迫力が有るローテンポの曲。

彼の力強さも合間ってより厚みを増す。


3曲を披露し観客に頭を下げる。

それと同時に喝采の拍手が彼を包む。

顔を上げた彼は手応えを感じたのか、笑顔で拍手に応えている。

プレッシャーから解き放たれた明るく柔らかい表情で。


パンフレットに書かれた彼の1次審査から披露して来た曲の一覧。

1次審査から何曲も何曲も演奏し、最後のこの審査で一番自信のある楽曲を演奏する。

そのために、かなりの準備をして来ているはずだ。


本番1週間前にやっと曲が仕上がり、新しい楽器に変更になるなんて事はあり得ない。

何度も何度も楽譜と向き合って、練習をしていく。

どの組み合わせが1番良く自分を見せれるかを考えながら。

そりゃプレッシャーも掛かるはずである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ