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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
夏蝉、鳴く
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夏蝉、鳴く 44

開いたままのパソコンから音が鳴る。

メールを受信した音。

俺は書類に目を通すのを一旦止め、メールを開く。

送り主は振り付け師の近藤。

16区ナゴヤの新曲の振り入れの進捗状況の報告だ。


今回の曲は2期生が参加する初めてのシングル。

彼女達もグループの1員として頑張って貰わなくてはならない。

進捗状況はまずまずの様だ。


俺は曲を作る際、作詞を主に行い、作曲は様々なアーティストに外注している。

もちろん曲が完成しミックスも全て終わりパッケージ化した時の最終確認はするが。

作曲されたデモ音源を聴いて歌詞を思い浮かぶこともあるし、歌詞を先に書き曲を付けてもらうこともある。

俺の場合は、大体半々くらいの割合だ。


思い付く時はあっという間に書けるし、全く思い付がない時もある。

そう言った時にデモ音源を聴くとイメージが浮かんでくる様になるのだ。


今回は詞が先だった。

既存のメンバーに2期生をどう溶け込ませるかをコンセプトに考えた曲。

2期生のおかげで表現できる幅が増えたおかげで、イメージを固めやすかった。


曲を作る作業は一筋縄では行かない。

作詞も作曲もするとなると尚更だ。


パソコンでSNSの情報をチェックすると、戦楽フェスU-18の話題で盛り上がっている。

レコード会社の新人発掘の為に始まったこのイベントも随分と大きくなったものだ。

立ち上げからイベントに関わっている自分からしても正直驚いている。


それ以上にここに出ている子達のレベルが年々上がっている事の方が驚きだ。

あの若さで曲を作りステージで演奏している。

曲を作る作業が一筋縄では行かない。

それをあの完成度でやってのける彼らには称賛を送りたくなる。


コーヒーを啜る。

近藤で思い出したが、柄本萌のいるバンドも決勝ステージに残っていると聞いた。

バンドの名前は思い出せないが音は思い出せる。


確か初めて聴いた時もコーヒーを啜っていたはず。

彼らはこのコーヒーに比べたらまだまだ深みが足りない。

だけど、舌先に後味が残る。

そんな曲だった。

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