表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
夏蝉、鳴く
284/417

夏蝉、鳴く 23

あれから3年は経つ。

萌は相変わらず妥協を許さない。

常に目の前の障害を越えようともがいている。


その原動力がなにか。

私は知っている。

彼女は一生このスタイルを崩す事はない。

そう言い切れる程に彼女を動かすエネルギーは莫大だ。


「はい!ストップ!」

音楽を止め、生徒達を集める。


「動きの流れを意識して!意識が次の動きの準備しちゃってる!」

私は実際に踊って見せる。

言葉では伝わりにくい表現の部分が、ダンスの特徴。

私も人に物を教える身である以上、生半可な事は言えない。

だからこそ、理解してもらうにはお手本を見せるのが手っ取り早いと思っている。


とはいえ、ここにいる生徒達は男女問わず、これからのHIPHOPダンス界で期待されている子達。

大体、動きを見せれば自分で吸収していく。

そういう習慣が身に付いている。


萌も例に漏れず。

吸収しようとする意志が強いのも、彼女との付き合いの中で分かってきたこと。

そういったアンテナを張り過ぎて、他人へのアドバイスすら自分のものにしてしまうほどだ。


そのせいで、たまに自分の良さが分からなくなる。

吸収するものが多ければ、多いほど自分を見失い迷子になってしまう。

恐らく今はそういう状態に陥っているだろう。

踊りを見れば一目で分かる。


「お疲れさん!だいぶ動き良くなったじゃん!」

レッスン終了後、私は肩で息をしている萌に声を掛けた。

まるっきり自信を失っている彼女を励ます為だ。


「お疲れ様です。全然まだまだです。もっと練習しないと」

息を整えながら淡々と話す。

表情には出さない様にしているが、全然上手くいかず私の言葉なんか頭に入っていない。


彼女は表情をコントロールしたがる。

心の内を見せたがらないと言った方がしっくりくるだろうか。

それも、昔から変わらない。

私と話していても感情を極力抑えようとする。


感情を出す事、今のケースでは弱さを見せるのを恥ずかしいと思っている節があるのだ。

周りに大人が沢山いる世界で仕事をしてきたが故に、自然とそうなってしまったのかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ