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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
夏蝉、鳴く
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夏蝉、鳴く 3

「学校中、お前の噂で持ちきりだぞ」

担任の先生は困った顔で私を見る。

周りの先生も気になる様で、私の方に目線を寄せている。

放課後、私は職員室に呼び出されていた。


「すいません。まさかこんな事になるとは想像してなくて」

3者面談の時には想像もできなかったこの状態。

先生も面食らっていた。


「幸い夏休み中の夏期講習授業で生徒が少ないからいいが、夏休み明けたら今の状態じゃ済まないぞ」

夏期講習授業。

夏休み中に行われる集中講座だ。

普段の授業と違い、少人数でより質の高い授業が受けられる。

一応自主希望制ではあるが、応募者多数の場合はこの間行われたテストの順位が高いものが優先になるらしい。


私がその事を知ったのは3者面談の時。

テスト勉強を頑張ってよかったと思った瞬間だった。


1クラスが20人の2クラス制。

つまり一学年40人しか今学校にいない。

今でさえ、私のいる教室に人だかりが出来ているこの状況。

一学年約200人の生徒のいるこの高校の生徒が通学したらと考えたら恐ろしい。


「一応先生も柄本がアイドルだったって事は知ってはいたし、この高校は芸能活動も禁止じゃない。だけど、せめて一言いってくれないとこっちも対応出来ないぞ」

せっかく夏休みを迎え先生達も一息つけると思っていた矢先の出来事。

担任の先生の心情を思うと申し訳なくなる。


「ご迷惑お掛けしてすみません。ですが、今の所戦楽フェス以外特には活動してないので一時的なものになると思います」

この言葉を言うのは今日二回目。

だから、さっきよりすんなり受け入れる事が出来た。


「一時的とは言ってもな。柄本が学校に居づらくなる状態になるのは避けたいんだ」

先生は頭を掻き悩んでいる。

私自身も正直対応に悩んでいる。

前の学校は芸能科に通っていた為、騒がれる事なく過ごしてきた。

だからこんな経験は今までなかったのだ。


同じ学校の生徒な為、無下にはしたくないし、かと言って丁寧に対応し過ぎると変な気を与えてしまう。

普通の女子高生になれるのはまだまだ先だと気づきため息を吐きたくなった。

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