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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
たりないぶたい
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たりないぶたい 50

流しに水筒を置き、脱衣所に向かう。

洗濯機に柄シャツを入れようと思ったが、古着の洗い方が分からない。

このまま洗濯機に突っ込んでもいいのだろうか。

少し悩んで、母に託す事にした。

とりあえず柄シャツは洗濯機の脇に置く。


いつもなら鼻歌を歌ったりするこのお風呂場は、ただシャワーの音が聞こえるだけ。

はじめはお風呂に入ろうと思ったが、多分湯船に浸かったら寝てしまう。

そう思い、シャワーで済ませる事にした。


シャワーを浴び終え水滴を拭き取る。

化粧水や乳液を塗る為洗面台の前にたつ。

汗もメイクもしっかりと落とし完全に素のわたし。

ライブハウスで化粧直しをした時とは全く違う自分が鏡に写っている。

見慣れているはずの素顔の自分なのに別人の様だ。


抜け殻。

ライブ終わりの自分の素顔はいつもそんな感じ。

完全に気持ちも何もかもが切れた状態。

地元以外でライブをしその日の夜ホテルで宿泊した際も、キャプテンに心配された事があるくらい空っぽになる。


習慣は凄いもので何も意識しなくても身体は動く。

いつもの様に化粧水も乳液も塗り、髪を乾かしている。

短い髪は楽だ。

乾かす時間が短くて済むから。


髪を乾かしながらみる自分の姿。

人の目がある訳ではない為、この抜け殻の様な状態でも問題はない。

むしろ、これが私の本質なのかと思ったりもする。


髪を乾かし終わりリビングに戻ると、父も母もまだテレビを見ていた。


「おやすみなさい」

2人にそう告げる。


「明日はいつも通りでいいの?」

リビングを出ようとした私の背中越しに母の声がする。

いつも通りでと振り向かずに言うと母は何も言わなかった。

理解したと言う事なのだろう。

私は自分の部屋に戻る。


そこからの記憶はほとんど無い。

日課のストレッチも省き、すぐにベッドに倒れ込む。

目覚まし時計も設定するのを忘れたが、忘れている事すら思い出す暇もない。


夏の夜は暑い。

だけど、そんな事を感じる余裕もなく眠りに落ちていく。

何も考えるものがない。

ただ真っ直ぐに眠りを身体が受け入れていた。

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