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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
たりないぶたい
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たりないぶたい 44

焼肉に行きたいと言ったのは私だ。

今日は体力をかなり使ったからエネルギー補給をしたいと思った。

身体がお肉を欲しているのだ。

だから始めからカルビを注文した。


けれど、そんな私よりお肉をみる小高さんの目が怖い。

いつもの凛とした彼女はそこにはいない。

それは肉に飢え獲物を狙う目。

動物の特集番組で見た肉食動物に通じるものを感じる。


トニックウォーターの話など既にそこにはない。

ロースターを挟んで殺伐とした空気が流れている。

仕方なく私はお肉を食べるのを諦め取り分けてもらったサラダを食べる事にした。


「牛ロースとご飯です」

店員さんががお肉と山盛りのご飯を持ってくる。

席を間違えたのではないかと思うくらい場違いなご飯の量。

普通盛りを頼んだ私のご飯の2倍はあるだろう。

店員さんも注文を聞いた時、慌てて聞き直していた。

そりゃそうだ。

それを注文したのは山盛りとは無縁そうな細身の女の子なのだから。


焼き上がったお肉を美味しそうに頬張りご飯をかきこむ小高さん。

違和感が消えない。

この光景だけはいつ見ても慣れない。


「どうかされました?」

彼女は不思議そうな顔をしているけれど、その対象が自分だなんて思っていないだろう。

ご飯を食べている時、彼女は色んなしがらみを全部捨ててしまうから。


まったく、大人なのか子供なのか。

無邪気な彼女の姿につい笑みが溢れる。


それにしても、焼肉に行くのは久しぶりだ。

下手をすれば半年くらい行ってなかったかもしれない。

あの人とよく一緒に行っていたのだが、お互いに忙しくなり足が遠のいていた。

だから、このトニックウォーターも久しぶり。

一人で注文するのは初めての経験だ。


そんな余韻に浸っていると、小高さんはまた店員さんを呼んでいた。


「カルビ6人前とせせり3人前、あとホルモン2人前お願いします!あ、あとご飯も!」

驚いて彼女の方を見ると、カルビのお皿もロースのお皿も空っぽ。

あれだけあったご飯も残り2口にも満たない程になっていた。

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