卒業のあと 24
とりあえず開いたままの扉から事務所に入る。
事務所は相変わらずおしゃれで今どきのオフィスという感じだ。
とはいえ、私はここと23区トウキョウのオフィスにしか入ったことがないのでどれ位凄いのかわからない。
とはいえ、私はどこに行けばよいのだろう。
「あれ?珠紀ちゃん知らない?」
オフィスを見渡していると後ろから声をかけられる。
声を掛けてきたのはうちのグループのマネジャー。
すでに、少し慌てている。
「珠紀なら外に出て行っちゃいましたよ。」
向かった方向を指差す。
それを見たマネジャーは頭を抱える。
「本当にあの子は無邪気なんだから…まだ話終わってないのに。」
マネジャーの顔が蒼白になっていくのが分かる。
珠紀はいつもこんな感じなのだ。
そして、振り回されるマネジャーもこんな感じになる。
その気持ちはお察しする。
「そういえば私も事務所に呼ばれてきたんですけど、どこに行けばいいか知りませんか?」
事務所に来てくれとは言われたが、どの部屋行けばいいのかは知らされていない。
顔面蒼白なマネジャーには悪いが、私も呼ばれてきた身だ。
「あ、えっとね…えーと…」
マネジャーはフリーズしてしまう。
それを見て私は聞かなければよかったと後悔する。
付いてくれているこのマネジャーは凄く私達のことを思ってくれている。
だから、なにか悪い事をしたような気がしてきていた。
「とりあえず、珠紀を追ってください!私は自分でなんとかします。」
罪悪感もありフリーズしてしまったマネジャーを助ける事にし、自分の事は自分でなんとかする事に。
そして、マネジャーはあたふたしながら外に駆け出して行ったのだった。




