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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
たりないぶたい
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たりないぶたい 40

スマートフォンが揺れる。

画面を確認すると連絡が3件。

自分達のステージが近づいてから一度もスマホを見ていない事を思い出す。

スマホを見る余裕がなかったのだ。


一つ目はキャプテンの里未ちゃん。

私達がステージに立つ前、ちょうど珠紀に背中を叩かれた時に連絡が来ていた様だ。


「頑張れ!」


この一言だけ。

大きなスマホの画面に3文字。

余計な言葉を使わない。

誰よりも表情豊かなだけに言葉に重みが出る。

里未ちゃんらしい伝え方だ。


返信はしない。

里未ちゃんとの連絡はいつもどちらかの一方通行。

その時言いたい事を吐き出すだけなのだ。


二つ目の連絡を確認する。


「ライブ頑張りなさい!晩ご飯、外で食べてくるのなら要連絡!」


なんて機械的な連絡だろう。

母からの連絡はいつもこうだ。

私が凄く悩みながら3次選考に臨んだというのに。

他人から見たら娘に興味がないのではないかと思われかねない。

でも、本当は素っ気ないフリをして私に変なプレッシャーを背負わせない様にしている。

誰よりも気遣ってくれているのだ。

とりあえず、母への連絡は後回しにし3つ目の連絡を確認することにした。


内容を確認し、私は後回しにしていた母への返信をする。


「今日は晩ご飯いりません」

ホウレンソウとしては、悪い例に挙げられるだろう。

母が母なら娘も娘。

柄本家は連絡が機械的だ。


とりあえず、先輩達と名古屋駅に向かう。

駅まで歩き、電車に乗り、名古屋に近づくにつれ人が増えていく。

と言っても今回はライブハウスが名古屋市内だったため2駅分しか離れていない。

電車に乗っていた時間はわずか8分。

先輩達は夢の中にいた。


すぐに着きますよと言ったのだが、まぶたを誰かに閉じられたかの様に自然に寝てしまっていた。

無理もない。

前日の夜は殆ど眠れず、朝から慣れないリハーサルをして、控え室では長い待機時間。

自分の出番が近づいてくれば緊張して、演奏中は緊張しっぱなし。

演奏が終われば冷や汗かいて、気が休まる暇なんてなかったのだから。

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