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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
たりないぶたい
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たりないぶたい 30

それにしても、なんて派手なシャツを着ているのだろう。

デザインは野菜柄だろうか。

自分の身体より一回り大きなシャツ。

萌にはこんな服装の趣味はなかったはずだ。

卒業してから趣味が変わったのだろうか。

明らかに1人だけテレビ映えしている。


テレビ映えしているのは服装のせいだけじゃないかもしれない。

華奢な腕と細くて綺麗な指でベースを弾く彼女。

自然と目がいくのは、萌が心配だからだと思ったがどうやら違う様だ。


やっぱりバンドの中でも1人だけステージでの振る舞いがずば抜けている。

表情や演奏中の楽器の所作、曲のリズムに合った身体の動かし方。

その一つ一つが曲にマッチしている。

と断言してしまうと、もしかしたらバンドのコンセプトとは違うかもしれないから、あくまで

私個人の意見だと思って欲しい。


あとの3人も悪い訳じゃないとは思う。

でも、なんだか鏡の前で演奏しているかの様だ。

お客さんの顔を全く見ていない。

特にボーカルの子。

音を合わせるのに集中しすぎて客席を見る余裕がない様に見える。

せっかくお客さんは演奏を楽しんでいてくれるのに。

恐らくまだステージに立つことに慣れていないのだろう。


分からない訳じゃない。

こんな広いライブハウスで、お客さんも沢山居て、しかも一曲しかチャンスがないと考えたら抱える緊張は計り知れない。

私が初めてアイドルとしてステージに立った時のそれに近いかもしれないなんて想像するだけで手汗がすごい。


だけどこの先、もっと大きなステージに立つのであれば身につけなければいけない力。

それは萌も嫌という程分かっているはず。

だとすると、自分のことに精一杯か敢えて言っていないか。


萌の事だ。

多分後者だろう。

誰よりお客さんの反応に敏感な子だったから。


この先の事まで考えているのだろう。

それくらい彼女はこのバンドに本気なのだ。

よくそんな度胸があるなと思う。

あんなに華奢で押したら倒れてしまいそうな身体なのに。

しかも、私より4つも歳下なのに。

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