たりないぶたい 27
「え?どうしたの?」
異変に気付いたマネージャーが今来たマネージャーに問いかける。
口では説明しにくいんだけど、怖い映画を見た後の様な感じだろうか。
心がどこかに行ってしまってる。
「遅れてすみません。ちょっと色々ありまして」
言葉を濁すマネージャー。
それ以上は理由を聞くことが出来なかった。
モヤモヤしながらとりあえず、許可書を貰いメンバーの待つ楽屋に向かう。
「遅れてごめんなさい!」
私は勢いよく扉を開け楽屋に入る。
だけど、なんかおかしい。
楽屋が静か過ぎる。
いつもならもっと賑やかな筈なのに。
さっきのステージの影響をまだ引きずっているのだろうか?
でも、それだったらキャプテンがみんなを励ましている筈。
そういえば、さっきあったマネージャーもなんかおかしかった。
「みんな何かあったの?」
私はとりあえずみんなに訳を聞く事にした。
するとみんな顔を見合わせ気まずそうな表情をしている。
これもさっきと一緒の反応。
「あのね…」
メンバーがなにも言わない中、キャプテンである里未ちゃんが話始める。
それは私がタクシーに乗ってテレビ局に向かうまでの話だ。
珠紀が忘れ物をしたと言い出し会場に取りに戻っている頃、私達16区ナゴヤのメンバーは番組収録のためテレビ局を訪れていた。
別仕事のメンバーとも合流し楽屋に入る。
基本的にはグループ単位で大部屋を用意される私達。
いつもなら修学旅行に来た学生の夜の民宿の様に騒がしくなるのだが今日は静か。
先程のステージの影響をまだ引きずっている様だ。
とはいえ、少しづつ元気を取り戻しつつあるし、収録には支障は出ないだろう。
キャプテンとして私は安心した。
楽屋に置いてあるテレビでは、私達がオープニングアクトを務めた戦楽フェス予選の名古屋会場の様子が生中継されている。
さっきの事もあるしテレビを消そうかとも考えたが萌のグループの演奏が気になりそのままにした。
メンバー達も気になる様で話題は自然と萌の事になっていた。




