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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
たりないぶたい
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たりないぶたい 21

ステージに立つ心構えが全然できていない。

先輩達にあんなに偉そうに説いていたのに。

自分が一番気持ちを整えられていない。

まさかこんな事になるなんて想像していなかった。


迷っている。

いや、私は何に迷っているのだろう。

メンバーの為と言っていたが結局自己満足。

自尊心を傷つけられた事に対する報復ではないか。

演奏を楽しむってなんだ。


言葉が浮かんでは私の頭の中に溜まっていく。

頭を抱えていた時、豊田先輩に背中を叩かれる。


「難しい事考て流って顔してるぞ!笑顔、笑顔だぞ!」

そう言って先輩は自分の頬を指で持ち上げる。

豊田先輩はよく人を見ている。

そう思った。

そして私も先輩の真似をして自分の頬を持ち上げてわらってみせる。


「笑顔の方がいい顔してる」

なんだろう。

こんな事前もあった気がする。

思い出せないが前にも同じ事を言われた。

でもなんか頭の中が軽くなった気がする。


そんな豊田先輩は私の顔つきが変わったのを感じ取ったのか、今度は横井先輩の頬を無理矢理持ち上げにかかる。

先輩達が戯れあう光景は微笑ましい。

にしても、この人は何故今回こんなに頼もしいのだろう。

理由は分からないが、今は先輩に感謝するしかない。


私は自分のトートバッグからノートを取り出す。

それは演奏で気づいた事を書いていたノート。

1冊分既に埋まりそうになっているそれを夢中で読み始める。


ステージで演奏している自分を頭の中で作っていく。

いわゆるイメージトレーニングの一環だ。

曲の注意すべき点や、表現の仕方を頭の中から掘り起こしていく。


なんて独りよがりな事を考えていたのだろう。

ノートを見ながら思う。

珠紀達に会って、一緒にいられない事を寂しくなって、とか言っているいる場合じゃなかった。

目の前で起きた事に気を取られて一番基本的な事を忘れてしまったのだ。


“理想は高く、夢は大きく!“

例え躓いても仲間達はまたきっとまた立ち上がるだろう。

私がいた頃からそうなのだから。

だから、要らない心配なんてする必要ないのだ。

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