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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
卒業のあと
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卒業のあと 22

一緒にやって来たメンバー、ファンの方にも何故卒業するのか聞かれた。


「音楽をやるためです」

私はそう答えた。

何を聞かれても、それ以上は何もいわなかった。

その為、漠然的にも思えるその言葉に周りは困惑していた。


グループ内でイジメがあったのではないかと心配されたり、精神疾患を疑われたりしたが一切そんなことはない。

噂が噂を呼び、所属事務所から嫌がらせを受けていたのではないかとまでいわれた。

もちろんそんな事はない。

むしろ事務所の方にはよくしてもらっていた。

感謝しても仕切れないくらいだ。


ただそんな噂も私が卒業する頃には消えていた。


人の噂も七十五日


このことわざの意味を実感した出来事だった。

むしろ姉妹グループのアイドルの1人でしかない私の噂などお茶の間を賑わすだけの知名度などなかったとも言える。


そんな噂が経つ前、さらに言うと16区ナゴヤのメンバーに私の卒業が知らされる前、私は運営の偉い人達に呼び出されていた。


もちろん、メンバーに卒業を伝える前に運営の事務所には卒業したい旨を伝えた。

きっとその事の話だろう。

私は所属事務所に向かっていた。


事務所に行くなんて久しぶりだ。

特別なことがない限り普段行くことはない。

連絡などはレッスン場で済ましてしまうし、直接携帯に来ることの方が多い。


そんな事務所に向かう私の足取りは重い。

緊張している時や、落ち込んでいる時の私は大体足が重い。


やな予感がする。

いい話をされない事は間違いないのだが、何か別の悪い事が起きそうな気がするのだ。

「女の勘」というのだろうか。

少し憂鬱な気分の所為にして事務所へと足を進めるのだった。

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