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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
たりないぶたい
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たりないぶたい 18

この人が総合MCで大丈夫なのか。

はっきり言って心配だ。

普通に笑いを取りにいけばいいのに、すごく周りくどい。

なんでそんな捻くれた事をするのか、私には分からない。

この人で笑う人はいるのだろうか。

居るので有ればその人に聞いてみたい。

どこに笑いどころがあるのかと。


いけない。

否定的な言動になっていた。

心が荒んでいる証拠だ。

納得できない結果でも苛立ってはいけない。

一度冷静にならなくては。

感情を抑制できなくては一流にはなれない。


私は恵まれている立場にいる。

他の2期生がまだ研究生として選抜にもアンダーにも配属されていない中、入って3ヶ月で選抜に抜擢された。

テレビにも出てこの様なステージにも立てている。

アンダーにいる先輩達を差し置いて。


でも、それを手放しでは喜べない。

今の立場には柄本萌の代役だからだ。

たまたま空いた場所に入っているに過ぎない。

もし彼女が辞めていなかったら私はこの場所にはいなかったかもしれないと考えると嬉しくなくなる。


“サンプリングオリジナルのダンスよかった!私よりもずっと!“

飲んでいたエナジーチャージゼリーの容器を握り潰す。


あ、そうか。

今分かった。

こんなに苛立っているのはさっきのパフォーマンスが悪かったからじゃなく彼女にそう言われたからなんだ。

私は椅子から立ち上がり容器をゴミ箱に投げ捨てる。


「蘭ちゃん怒ってない?なんか怖いよ…」

ハッとして振り向くと西村珠紀か私をみて不安そうな顔をしていた。


「いえ!そんな事ないです!ちょっと考え事してて…」

やってしまった。

先輩の前であんな苛立った態度を無意識にやってしまっていた。


「なら良かった!けど珍しいね。蘭ちゃんが感情を表に出すなんて!」

やっぱりこの子はよく人を見ている。

気を抜いたら私の全てを見透かされてしまうかもしれない。


「パフォーマンスが終わったばかりなので少し感情が昂っているのかも知れません!気遣っていただきすみません」

全て見透かされる訳にはいかない。

これからは気をつけなくては。

そうやって気を使う度に心が貧しくなっていく気がする。

後輩をやるのは大変だ。

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