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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
卒業のあと
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卒業のあと 21

アイドル活動をする事は嫌いじゃなかった。

憧れていたテレビの中の世界。

もちろんその世界は華やかさだけじゃない。

笑顔の裏には沢山の苦労がある。

でも、それ以上に見たこともない景色を見ることのできる事にやりがいを感じていた。

中でもライブは好きだった。


大きなステージ、輝くスポットライト、満員の観客席。

そんな中で曲を披露する。

観客席を見ればファンからの声援とサイリウムの光、それは言葉にはできない高揚感を与えてくれる。

喋ることは得意ではなかったがライブの時は饒舌になっていたし、テンションも上がっていた。


自分で言うのも恥ずかしいがそれなりにファンの方もおり人気はあった。

ファンレターは毎日の様に所属事務所に届けられていたし、ブログの閲覧数も上位だ。

握手会にも沢山の方が来てくれた。

名古屋の街を歩いたていたら声を掛けて貰えるようにもなった。

そんなファンの方々にはすごく感謝しているし、勇気付けられてきた。


その分、プレッシャーは凄かった。

グループの選抜として、フロントメンバーとして人の前に立つ以上中途半端なパフォーマンスはできない。

ダンスや歌の練習はいつも必死だった。

沢山怒られたし、時には泣いたりもした。

ただ、やりきった時の達成感はそんなものを忘れさせてくれた。


“とびきりの時間”

そう感じさせてくれる場所はきっとここしかないだろう。

もしかしたら、この先の人生でこんな時間を過ごせることはもうないかもしれない。


でも、私は卒業することを決めた。

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