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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
たりないぶたい
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たりないぶたい 5

「16区ナゴヤです!今日はよろしくお願いします!」

キャプテンの声。

ずっと聞いて来た声。

忘れる訳がない。


その声の出所に私は顔を向ける。

声が発信される場所は一つしかない。

控え室に置かれているテレビ。

それだけだ。


テレビに映るかつての仲間達。

スタッフさん達に感謝を伝えている。

それに、それぞれがまだレッスン着を着ている。

ステージには12人。

このフォーメーションを見る限り1stシングルを披露するのだろう。

リハーサルの映像を見ながら私はあの人を探す。

あの人は当時フロントメンバーではなかったから後列に居るはずだ。


固定カメラでしか映像が撮影されていない事にもどかしさを感じながらメンバー一人一人確認していく。

顔を見なくてもダンスの癖で分かる。

キャプテンも珠紀もあの人も。

だが、どれだけ探してもあの人はいない。

変わりにアンダーのメンバーが入っていた。

珠紀とキャプテンはいるのに。


だけどなぜかホッとしている。

久しぶりに仲間達の顔を見れて嬉しいのに。

今すぐにでもここを飛び出してみんなに会いに行きたいのに。

あの人にだけは会いたくない。

今の自分では会ってはいけない気がする。


そんな自分の気持ちに気付いた頃、彼女達のリハーサルが始まる。

カメラワークの関係もあるのだろう。

リハーサルが先に行った私達よりもだいぶ念入りだ。


控え室に響く16区ナゴヤの曲。

だけど、誰も耳を傾ける事はない。

なんて尖った人は少ないのか、私が気付いた時には大多数がテレビに齧り付いていた。

流石地元である。


横井先輩も例外ではなかった。

アイドル好きの面が全面に出ている。

いつも私には無関心なのに。


横井先輩だけじゃない。

自分で言うのは恥ずかしいが、私はみんながリハーサルを食い入る様に見ているグループに所属していた。

しかも、選抜メンバーだったし、なんならフロントメンバーだ。

なのに誰も気付いてくれない。

こんなに近くにいるのに。

悔しいやら、虚しいやら、悲しいやらで胸がいっぱいになった。

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