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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
たりないぶたい
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たりないぶたい 4

楽屋に戻ったはいいものの何をすればいいかわからない。

2次選考は楽屋にいる時間が短いからよかったが、今回は違う。

お客さんの入場もあるため、結構長い時間楽屋で待機しなくてならなかった。


楽屋には大きなテレビが一つ設置されている。

流れているのはステージの今の様子。

他のバンドのリハーサルの映像が映し出されていた。


ただそのテレビを見ている人はいない。

今回テレビカメラがこの3次選考をライブ中継する事になったらしい。

これは急遽決まったとのことだ。

運営スタッフさんからその事を聞いた時、手鏡で自分の姿を無意識に確認していた。

これは職業病というよりは、女子としての嗜みなのだろう。

こんな緊張した状況で自分の容姿を気にする余裕がある。

私の頭は余裕なのか、はたまた一杯一杯なのか。


こんなに人数がいて、バンド達がいる楽屋なのに静か過ぎる。

私が楽屋に戻った段階ではもう少し騒ついていた筈だ。

テレビカメラが入ると通知があった所から急にみんなが沈黙した。


先輩達もテレビ収録に無理矢理連れてこられた芸能人のペットの小型犬の様に震えている。

いつも過ごしやすい部屋でのんびりしていた筈なに、急に狭い籠に押し込まれ、全く知らないところに連れて行かれ、知らない人しかいない所で芸を強要される。

飼い主の見栄のために怖い思いをさせられているのが分かるから笑顔を作るのが辛かった。


私はまさに今その事を思い出した。

目の前に置かれたハードルが高過ぎる。

大勢の観客の前でライブするのも初めてなのに、更にテレビカメラまで。

ステージでの振る舞い方は自分で気付くしかないとか偉そうに言っていたが、それどころではない。

このままでは、ステージに立つ前に気持ちが折れてしまう。


どうすればいいか考える。

すると私の緊張も一気に高まる。

久しぶりのテレビに自分の心臓も素直に反応しているのだ。


そんな中、聞き覚えのある声が耳に入ってくる。

なんでテレビカメラが入ったのか分かった。

彼女達が来るからだ。

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