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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
たりないぶたい
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たりないぶたい 3

「そうです!僕なんかを覚えていてくれたんですね!」

両手に沢山の荷物を抱えたまま、スタッフさんは嬉しそうに肩を揺らす。


「はい!忙しいのに挨拶を返してくださってありがとうございました!」

私は深々と頭を下げる。

これは無意識ではない。

ちょっと大袈裟な感謝の伝え方だ。


「おい!何やってんだ!早く来い!」

他のスタッフさんの怒鳴り声が頭を下げている私の耳にまで届く。

私が顔を上げると私に声をかけてくれたスタッフさんは苦虫を潰した様な顔をしていた。


「やばい!行かないと!」

慌てて方向転換をし、駆け足で私から遠ざかっていく。

私はその背中をただ見つめていた。

すると、スタッフさんは顔だけをこちらに向け私に向かって叫ぶ。


「あの!LIVE頑張ってください!応援してます!」

私はまた頭を下げたが、頭を上げた頃にはそのスタッフさんはすでに居なくなっていた。

私も方向転換をし控え室へと歩く。

ただその足取りは先程より軽く、それでいてしっかりとしていた。


控え室の扉を開けると案の定、空気が張り詰めている。

3次選考に挑む10組のバンドが一堂に会しているこの部屋。

正直狭すぎる。

2次選考の時よりも広いはずなのに。


ざっと数えて40人は居るだろうか。

4人編成、3人編成、はたまた6人編成とバンドの構成は様々。

用意された椅子だけでは足りず地面に座っている人もいる。


23区トウキョウのライブの控え室でもこんなに人数はいない。

なぜなら、リハーサルやメイクなどでずっと控え室にいるなんて事がないからだ。

アイドルのライブのリハーサルは長丁場になる事が多く、開演5時間前にはすでに始まっている。

音だけでなくダンスの確認も服装はレッスン着。

汗で色々と崩れる為リハーサルは基本的にスッピン。


もし、あの頃の感覚でスッピンでリハーサルに挑んでいたらとても恥ずかしい事になっていた。

こんな沢山の人がいる場所で髪の毛やメイクをするなんて人の目が気になって出来ない。

しかも、男子の比率が多いこの状態なら尚更だ。

いくら控え室とはいえ、ちゃんとモラルは守らなくてはならない。

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